こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
忙しい時、どこか不安な時、そんな時に心を落ち着かせてくれるのが和菓子の持つパワーではないかな、と感じています。季節を感じる華やかな和菓子もいいけれど、そんな時に食べたくなるのはシンプルな、そしてどこか懐かしい感じのする和菓子。
みなさんの心の中にもきっと思い出の和菓子があるはず。今回は九州出身の私の心の支え、ほっこりやさしいおやつの「ぼうろ」を紹介します。
ぼうろは小麦粉、たまご、砂糖で作られたシンプルなお菓子。ふかふかとした食感が特徴です。ぼうろは1550年頃、ポルトガル船の来航によって日本に伝わったと考えられています。語源はお菓子の総称を意味するポルトガル語の「bolo」に由来すると考えられており、元々は砂糖と小麦粉を混ぜた小さく硬いお菓子で、ポルトガル船員の保存食として食べられていました。
世界中を回ってきたポルトガル船ですが、「ぼうろ」が九州・佐賀に根付いたのは佐賀の良質な小麦粉があったからといわれています。
その後、佐賀の職人さんが長崎に通い、ぼうろの作り方を習得。完成したのが「丸ぼうろ」です。丸ぼうろは1枚100円程度で(昔はもっと安かった!)、子供でもおやつとして買える価格。丸ぼうろを買って、冷たい牛乳と食べるのが子供の頃のお気に入りのおやつでした。
今ではジャムを丸ぼうろで挟んだお菓子や、丸ぼうろのためのアイスも売られていたり、丸ぼうろはどんどん進化を遂げています。
このぼうろに派生して誕生したのが京都の「蕎麦ぼうろ」や「乳ぼうろ」。様々なぼうろが生まれるきっかけになりました。どのぼうろも共通するのは”どこか懐かしく、ほっこりする”という共通点。
あっという間に今年も後半戦が始まりました。季節の変わり目。ジメジメとした日もありますが、お気に入りの和菓子と共に穏やかな日々を過ごしましょう。
写真提供:せせなおこ
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