現代社会では、ストレスは避けられないものです。仕事や人間関係、社会的なプレッシャーなど、さまざまな要因が積み重なる中で、ストレスを効果的に発散し、心身の健康を保つことは重要なテーマではないでしょうか。しかし、ストレス発散の方法が他者を傷つけるものであってはなりません。
例えば、お酒の席で楽しく会話することは、一般的に良いストレス発散法です。しかし、飲みすぎや食べすぎは自分自身を傷つける原因になりますし、長時間にわたって愚痴を聞かされるのは、心身ともに疲れてしまうこともあります。
今回は、中医学の視点から、誰も傷つけずにストレスを発散する方法について考えてみましょう。
中医学の視点で見るストレスとその影響
中医学では、ストレスが体内の「気」(エネルギー)や「血」(血液)に影響を与えると考えます。ストレスが過剰になると「気」が滞り、「血」の流れも悪くなり、結果として心身に不調をきたすとされます。
具体的には、イライラや落ち込み、情緒の不安定、食欲低下、お腹にガスが溜まる、下痢と便秘を繰り返す、女性では月経前に胸が張って痛むなどといった気のめぐりが悪くなった症状と、肩こり、頭痛や、月経痛、経血にレバー状の塊が交じるなど血の巡りが悪化した症状が同時またはいずれかに偏って多く現れます。これらを解消するためには、まずエネルギーである「気」の流れを整えることが大切です。
セルフケアとリラクゼーション
ストレス発散の基本はセルフケアとリラクゼーションです。たとえば、深呼吸や瞑想は、心を落ち着かせ、内面の平穏を取り戻すのに効果的です。中医学では、静かな環境でゆっくりと呼吸をするだけでも心を落ち着けるきっかけになると考えます。これにより「気」の流れが整い、ストレスから受けるダメージの軽減につながります。
自然の中で過ごすことも効果的です。山歩きや庭仕事、自然の風景を眺めるだけでも、心がリフレッシュされ、体全体のエネルギーが調和します。自然はストレス解消の強力な味方であり、中医学における「陰陽」のバランスを保つ助けとなります。
健康的な食生活
食事もストレス管理において大きな役割を果たします。ストレスで「気」が滞っている場合は、玉ねぎやキャベツ、みかん、オレンジなど「気」の流れを促す食材が効果的です。さらに、温かいスープやお茶は体を温め、血行を促進し、体の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。気分が落ち込んでいるときは、まずは温かいお湯を飲んでみてください。そして、もしあればみかんやオレンジを食べてみるのもおすすめです。
ストレス時はあまり多く食べられなかったり、逆に変なものを食べ過ぎたりすることがよくあります。そういった不調を整えるにも気を巡らせる食材は有効です。そして食べるものがわからず困ったら、とりあえず菓子パンやお菓子を食べるのではなく、果物を食べたり、小さいおにぎりを食べたりして、良い栄養を補給することを心がけましょう。
社会的なつながりとコミュニケーション
ストレス発散には他者との良好なコミュニケーションも欠かせません。ただし、ストレスを他者にぶつけるのはよくありません。代わりに、自分の感情を正直に伝え、理解し合うことが重要です。友人や家族と悩みや不安を共有することで、心の負担が軽くなることもあります。中医学の観点では、他者とのつながりを大切にし、感情を調整することが「心」と「体」のバランスを保つ鍵とされています。
例えば、感謝の気持ちやポジティブな言葉を掛け合うことで、ストレスを軽減する効果が期待できます。もしそういったことになれておらず、恥ずかしいとか難しいと感じるなら、まずは自分に優しい言葉をかけてみましょう。朝の洗顔後や夜のお風呂の際に「お疲れさま、よく頑張ってるね」と鏡に写った自分に一言かけるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
適度な運動と体調管理
適度な運動もストレス解消に有効です。中医学では、運動によって「気」の流れが促進され、血行が良くなるとされています。散歩やヨガ、軽いジョギングは、心身をリフレッシュするためにおすすめです。
運動と聞くと、ジムに通ったりランニングをしたりすることを思い浮かべがちですが、ぴょんぴょんとジャンプするだけでも効果はあります。階段を使う、電車では立つなど、日常生活の中で「筋肉を使う」ことを意識してみましょう。
まとめ
ストレス発散の方法はさまざまですが、他者も自分も傷つけない方法を選ぶことが大切です。セルフケアやリラクゼーション、健康的な食生活、良好なコミュニケーション、適度な運動などを日常生活に取り入れることで、心身の健康を保ち、ストレスを軽減することができます。中医学の知恵を活かしながら、自分自身と他者を大切にし、ストレスとうまく付き合っていきましょう。
櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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