今日のお話は「平茸(ひらたけ)」です。
天然物の平茸の旬は、晩秋から春にかけてで、広葉樹の倒木や枯れ木に重なり合うように群生します。
平安時代後期の「今は昔」で始まる『今昔物語集』には、平茸がでてくる逸話がいくつかあることから、大変古くから食べられてきたことが伺えます。
やがて人工栽培されるようになり、今から約40年前には、椎茸やえのき茸に続いて国内生産量が約2万6千2百トンと多かったのですが、現在は約3千8百トンまで減少してしまいました。
平茸は日持ちが短いという特徴があるため、ぶなしめじやエリンギ、舞茸などより長く持つ茸の方が需要が高まったことが理由の一つとされています。
平茸の名前の由来は、傘が平らな形をしていることからきています。
平茸は、ヒラタケ科ヒラタケ属の茸ですが、一時期「しめじ」の商品名で販売されていた時期がありました。やがて、ぶなしめじの生産量が増えていくにつれ、「平茸」の名前で販売されるようになりました。
名前を変えられたり、生産量が減ったりと少々可哀想な平茸ですが、平茸のふんわりとした形、淡い灰色、甘い香り、クセが少なく優しい味は他のキノコには無い魅力があります。
また、平茸には色々な種類があります。以前働いていた市場で扱っていた中には「ジャンボ平茸」や「霜降り平茸」、ピンク色の「とき色ひら茸」、黄色の「タモギタケ」などがありました。
「ジャンボ平茸」は名の通り、立派な大きさが特徴で食べ応えがあり、平茸の優しい風味が楽しめます。
「霜降り平茸」は、傘が霜降り模様で肉厚です。香りと味はやや強めなので、強めの食材と合わせて調理すると、お互いの味を引き出し合い、持ち味を堪能できます。一般的なスーパーなどのお店で並んでいます。
「とき色ひら茸」は、目を引く鮮やかなピンク色も魅力ですが、煮るといい出汁が取れます。茹でた後は色が抜けますが、冷水に浸けると淡いピンク色に戻ります。
「タモギタケ」は淡い黄色や濃い山吹色をしています。天ぷらにすると、衣から強い香りが溢れます。
今日は、「平茸」と「霜降り平茸」を使った料理を2品ご紹介します。
鍋やフライパン1つで作れる簡単なレシピです。よかったら作ってみてください。
平茸と白ネギのあんかけ
〈材料〉
•平茸 1p(約150g)
•白ねぎ 1本
•水 1カップ(200cc)
A
•水 1カップ(200cc)
•醤油 大さじ1
•みりん 小さじ2
•粉末だし 小さじ½
(水溶き片栗粉)
•片栗粉 小さじ1
•水 大さじ1
〈作り方〉
①平茸は下端を切り、手でほぐします。白ネギは輪切りにします。
②鍋に平茸と白ネギと水を入れて、弱火で5分煮ます。
③火を中火にして煮立ったら、弱火にしてAの材料を入れて、軽く混ぜます。
④水溶き片栗粉を入れてとろみがついたら完成です。
ポイント
水で煮ると茸の出汁がよく出ます。
炊きたてのご飯、茹でたうどん、卵焼き、鶏肉や豚肉のソテーの上にかけても良いです。
今回は、すりおろした長芋150gと卵1個を混ぜたものを、フライパンに油大さじ1をひいて中火弱で両面焼いたものにかけました。
お好みで七味唐辛子をかけて召し上がっても良いです。
霜降り平茸としめじのツナ炒め
〈材料〉
•霜降り平茸 1p
•ぶなしめじ 1p
•油 大さじ1
•塩 小さじ1/2
•ツナ 1缶(70g)
A
•酢 大さじ1
•砂糖 小さじ1
•レモンの搾り汁 大さじ1/2
•黒オリーブスライス 25g
〈作り方〉
①霜降り平茸とぶなしめじの下端を切り、手でほぐします。
②フライパンに油大さじ1を引き、①を入れて中火で焼きます。
③軽く焼き色がついたら、塩を入れて軽く混ぜて、2〜3分焼いて、軽くしんなりするまで焼き、お皿に移します。
④同じフライパン(洗わずに)に、ツナ缶を入れて弱火で30秒ほど炒めた後、Aの材料を全て入れて、30秒炒めます。
⑤再び茸をフライパンに戻して1分ほど炒めたら完成です。
ポイント
酸味がきいたマリネの味付けですので、さっぱりいただけます。
大葉やイタリアンパセリのみじん切りとオリーブオイルをかけて召し上がってください。冷蔵庫で2日保存できます。
写真提供:川口屋薫
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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