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栗名月くりめいげつ

月と星 2024.10.15

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

今年も、長かった夏がやっと終わりを迎え、やわらかな秋の空気を心地よく楽しめる季節が訪れつつあります。
ここから本格的に寒くなるまでの間、思い切り秋の素敵なところを満喫したいものですね。

秋と言えば、やはり「お月見」の魅力は外せないのではないでしょうか。
秋のお月見は「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれる、十五夜(旧暦8月15日)の「中秋の名月」が有名です。
しかし、秋の名にふさわしい名月がもうひとつ、「栗名月」という名前で存在することをご存知でしょうか。

今回ご紹介する「栗名月」とは、十三夜と言って、旧暦9月13日の夜の月を言います。
名前の由来はシンプルに、この時期に美味しい栗がとれるという理由で呼ばれているそう。

お月見はもともと、秋の収穫を祝うお祭りという要素もあることから、お供え物にはお団子にお芋や栗、すすき、そしてお酒などがお供えされてきました。
また、枝豆を供えることから「豆名月」という別名や、「中秋の名月」との対比で「裏名月」「後(のち)の月」と呼ぶこともあります。

美しい満月である「中秋の名月」は中国でも観月が行われますが、実のところ「栗名月」は完全な満月ではありません。
そして、ほんの少し欠けた月を眺めるこの十三夜のお月見は、日本生まれの風習なのだとか。
この、少しだけ不完全な姿の月が「なんとも味わい深いもの」と愛されてきたことを考えると、こういった部分にこそ日本人ならではの感性や美意識が感じられてなりません。

この二つの名月は、両方を観月することがすすめられることが多いようで、どちらかひとつしかお月見を行わないことを「片見月」や「片月見」などと忌む風習もあるようです。
かといって、中秋の名月はすでに過ぎてしまっているわけですから、見られなかった方があまり気にしすぎるのもよくありません。

せっかくですから、この機会に「芋名月(中秋の名月)」とともに「栗名月」のことを頭のどこかで覚えておいていただければ、来年以降には美しい月夜を二度も楽しめることでしょう。

それにしても、ひとことで「お月見」と言っても、過ごし方は人それぞれ。
一人で静かに月を見上げながら、虫の声など聞きつつ物思いにふけるのもよし。大切な誰かと一緒に、ゆっくりと話をしながら眺めるのもよし。お花見のような形で、大勢で集まって賑やかに飲み食いするのも一興かもしれません。

ともあれ、今年も猛暑を乗り切り、やっと訪れた心地よい秋の夜長。
それぞれに、楽しく味わい深いひとときを過ごすことができますように。
空に浮かぶ月の姿に、今の自分の心を、そっと映し出してみてはいかがでしょうか。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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