日々のおかずやお弁当のお惣菜にと、日本人にとっては馴染み深い海藻のヒジキ。
普段、家庭で調理される際は、乾燥ひじきやドライパックの缶詰などを使うことが多く、あまり季節を意識することがないと思いますが、実は天然のヒジキは今が旬。春の季語にもなっているんです。

ヒジキの歴史
ヒジキを漢字で書くと、「鹿尾菜」。江戸時代の『本朝食鑑』によると、これは文字通り、その見た目が鹿の尾のような海藻だと表現されたからだそう。
古くは縄文時代の遺跡からも痕跡が見つかっており、奈良時代の『正倉院文書』にも「鹿尾菜」の文字が登場します。海の中でも浅瀬に生えている海藻ですから、潮が引いたときに採りやすかったのでしょうか。
平安時代にはすでに貢納品の一つとして用いられ、『延喜式』(927)にも名前が見えます。
江戸時代には乾燥ヒジキの製造技術が発展し、全国的に流通するようになりました。日本各地の名産品を紹介した江戸時代のガイドブック『毛吹草』には、今も名産地の一つである伊勢のヒジキが登場しています。

ヒジキの旬とおいしさ
産地にもよりますが、ヒジキの収穫は、3月から5月ごろが最盛期。ほとんどのヒジキは収穫後に天日干しにして乾燥、加工されます。しかし、一部は生のままで店頭に並ぶことも。
生のヒジキは茶色っぽいグリーンをしており、まるで別の海藻のよう。アクが強く、そのままで食べることはできませんので、きちんと下処理をしてくださいね。

茹で上げたばかりの新鮮な生ヒジキは、鮮やかな緑色が綺麗で、歯切れの良さと独特の風味が良く、乾燥のヒジキとはまた違ったおいしさが楽しめます。煮物や炒め物はもちろん、サラダや和え物で食感を活かすのもおすすめです。
保存が効いて便利な乾燥ヒジキも味わい深いですが、今しか味わえない生ヒジキの魅力も知ってもらえたら。ぜひ手に取って、新鮮な海藻の味わいを楽しんでください。

清絢
食文化研究家
大阪府生まれ。新緑のまぶしい春から初夏、めったに降らない雪の日も好きです。季節が変わる匂いにワクワクします。著書は『日本を味わう366日の旬のもの図鑑』(淡交社)、『和食手帖』『ふるさとの食べもの』(ともに共著、思文閣出版)など。
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