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おぼろ

旬のもの 2025.04.13

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
菜の花の香りが鼻をくすぐるこの季節。ポカポカ陽気と相まって、なんだかふわふわとした気分になります。こんなときに空を見上げると、空は白っぽくかすみ、太陽や月の光もぼんやりして見えます。

このように、月の光がかすんでいるさまを「朧(おぼろ)」といいます。そういえば、「おぼろ豆腐」という料理もありますね。こちらは豆乳ににがりを加えて固まりきらないうちにすくいあげたものです。とろとろとやわらかい舌触りが、この季節のつかみどころのない空気感とどことなく似ています。

「朧」の正体は、春の空気に含まれている、さまざまな不純物です。

春は気温が上がり、大気中に含むことできる水蒸気量がふえます。また、気温が上がることで上昇気流も発生し、地面のホコリが巻き上げられます。そしてスギの花が開花し、花粉も飛んできます。

冬から春へと季節が進めば、シベリア高気圧の勢力が弱まります。すると、今度は大陸から偏西風に乗って移動性高気圧や低気圧がやってきます。偏西風は中国大陸の乾燥地帯から砂を運んできます。

このように、春の空気は不純物だらけなのです。

もうひとつ、「おぼろ雲」というやや分厚い雲もあります。その名の通り、この雲が出ると太陽や月が雲越しにぼんやりと見えます。
このおぼろ雲は正式には「高層雲」と呼ばれる雲で、低気圧が近づくと現れます。おぼろ雲がさらに分厚くなれば、雨が降り出します。おぼろ雲を出現させる低気圧も、春になると大陸から偏西風に乗ってやってきます。

キュッと身が引き締まる冬から、ふわふわとおぼろげな春へ。淡くて温かい光に包まれて、ついウトウトしてしまう季節です。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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