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月餅げっぺい

旬のもの 2025.09.06

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こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。

9月といえばお月見。今年の中秋の名月は10月6日だそうですが、なぜだかお月見というと9月のイメージがあります。

日本ではお月見団子を食べるのが一般的ですが、中秋節を代表する中国の伝統菓子に「月餅」があります。ぎっしり詰まった餡、重みのある存在感が特徴ですが、実は広州式(広式)、蘇州式(蘇式)、北京式(京式)、雲南式(滇式)、潮汕式(潮式)などさまざまな種類があるのだそう。いつか中国に行った際はいろいろな月餅を食べ比べてみたいものです。

そんな月餅は“円満”や“幸福”を願う意味も込められていて、中国や台湾、香港などでは旧暦の八月十五日に家族や大切な人と月を眺めながら食べる習慣があり、“団らんの象徴”のお菓子として位置づけられています。

現在の日本における月餅のスタイルの始まりは、新宿中村屋。日本人の口に合うように改良を加え、1927年に発売されました。中国の月餅は重厚で大きなものが多いですが、日本の月餅はひとつずつが食べやすいサイズになり、表面も香ばしい焼き菓子のよう。中身も黒糖あんや栗あん、さらには白あんや胡麻風味など、日本人好みの味わいが工夫されていて、各地の中華街ではもちろん、月餅専門店が存在するほど。

少し前にとある中華スイーツ専門店を訪れたことがあります。本場中国のスイーツを日本人にもっと知ってほしい!という思いでオープンされたお店には、様々な味・形のかわいらしい月餅が並べられていました。一般的な月餅はラードが使われ機械化されており、日持ちも長いのですが、そのお店の月餅は日本人に合わせて調整され、さらに安心安全、手作りのおいしさを味わってほしいということから全ての月餅が手作りされていました。正直あまり「おいしい!」と感じたことのなかった月餅でしたが、サクサクの生地と中身のあんこもしっとりと生地に馴染み、月餅の印象がガラリと変わる、初体験でした。

海外から伝わったお菓子を日本人が自分たちの味覚に合わせて変化させていく。その柔軟さと職人技には本当に驚かされます。月餅もまさにそのひとつであり、中国から来たお菓子が、日本風のアレンジが加えられて、日本のお菓子と言ってもいいのではないか、と思うほど。そうやってお菓子を通じて異国の新しい文化に出会えることはすごくおもしろく、これだからお菓子はやめられないな、と噛みしめてしまいます。

秋の夜、丸いお月さまを眺めながら、日本風にアレンジされた月餅をひと口。そんな時間を過ごすと、遠い国の人々と同じ風景を共有しているような不思議な気持ちになります。今年のお月見は月餅を通して他の国の歴史や文化を味わってみてはいかがでしょうか。

写真提供:せせなおこ

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せせなおこ

和菓子文化研究家
福岡県出身。あんこが大好きな和菓子女子。和菓子を好きになったきっかけはおばあちゃんとつくったおはぎ。ぽかぽか暖かい春が好きです。おいしい和菓子を求めて全国を旅しています。

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せせ日和