今日のお話は「ごま」です。
ごまはゴマ科ゴマ属の一年草です。ごまの種類は色によって「白ごま」、「黒ごま」、「金ごま」に大きく分けられています。
晩春頃から種を蒔き、夏に白ごまは白色の花を、黒ごまや金ごまは淡いピンク色の花を咲かせます。秋を迎えると収穫が始まります。
ごまの歴史は大変古く、諸説ありますが、起源はアフリカのサバンナ地帯のナイル川流域で、紀元前3000年前から栽培が始まったとされています。ごまの成分の約50%は油分が含まれていることから、世界最古の油とも呼ばれているそうです。
縄文時代後期には中国、朝鮮半島から日本に伝わったとされています。中国では、ごまが伝わったとされる西の方角にある国を「胡」と呼び、形が似ている「麻の実」にちなみ「胡麻」の漢字があてられました。今では中国では「芝麻」と呼ばれるようにになりましたが、日本では今も「胡麻」を音読みした「ごま」が使われています。
奈良時代には日本でも栽培が始まったとされ、江戸時代に入ると、精進料理や和食で、ごま和え、胡麻豆腐、天ぷら油、菓子などにごまが使われるようになりました。
昭和中期頃から、国産ごまの生産量は他の農作物と比べて、手間がかかる作業が多く、機械化が進まなかったことが影響して減少しました。現在国内で消費されているごまは僅か0.1%未満ですが、官民で取り組んでいるので、今後国産ごまの自給率が上がるかもしれません。
主にアフリカや中南米から輸入したごまは、「煎りごま」、「すりごま」、「練りごま」、「ごま油」などに加工します。
栄養豊富で体に良いごまは色々な料理に活躍します。例えば、ほうれん草の白和えやいんげん豆のごま和え、赤飯、大学芋、おはぎの黒ごま、揚げごま団子、焼肉のタレに白ごま、ドレッシング、担々麺に棒棒鶏と、ごまの風味が光る料理は星の数ほどあると思います。
私がよく作るのが、炒りごまをすり鉢で粗めに潰して、塩を混ぜたおにぎりです。ごまのプチプチした食感と香ばしい香りがたまりません。
練りごまやごま油は、鍋つゆやポン酢に少し加えるだけでいい風味づけになります。湯豆腐にかけるなど、これからの季節は鍋料理にぴったりです。新鮮なキャベツが手に入ると、適当にちぎった葉に塩昆布とごま油を入れて冷蔵庫で1時間ほど冷やすと、無限に食べられるおかずになります。
今日のレシピでは、ごまのパンナコッタをご紹介します。北イタリアのデザートでパンナ(生クリーム)コッタ(煮た)という意味です。通常はバニラやレモンで香りを加えますが、ごまの香りも合います。良かったら作ってみてください。
ごまのパンナコッタ
「ごまのパンナコッタ」
材料
•練りごま(白) 大さじ1
•生クリーム 200ml
•牛乳 大さじ8
•砂糖 大さじ2
•粉ゼラチン 5g
•水 大さじ2
•蜂蜜 お好みの量
•氷水 適量
作り方
①粉ゼラチンに水を入れてふやかします。
②小鍋に生クリーム、牛乳、砂糖を入れて混ぜながら中火弱で温めます。
③練りごまを加えて、沸騰させないように混ぜながら温めます。
④火を止めて、ふやかしたゼラチンを入れてよく混ぜ合わせます。
⑤氷水を入れたボールに鍋底をあてながらゆっくり混ぜ合わせます。
⑥あら熱が取れてから、型に入れて冷蔵庫で約3時間冷やし固めたら完成です。
⑦お好みで蜂蜜をかけてください。
⭐︎ポイント
•ほのかにごまの風味を感じるパンナコッタですので、お好みで練りごまの量を増やしても良いです。
•黒ごまの練りごまでも合います。
•すりごまをトッピングしてもいいです。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
