二十四節気は「小雪」を迎え、いよいよ本格的に冬がはじまります。
外に出ると北風がビュービューと吹きつけ、身体の芯まで冷え込むような日も増えてきました。そんな日は、家に帰って部屋でぬくぬくと、あたたかいものを食べながらゆっくり過ごしたいところですね。しかし、年末に向けてなにかと忙しい時季。あまり丁寧に料理をする時間がないという方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、家にあるもので簡単にできて、栄養たっぷりで身体をあたためてくれるものが食べたくなります。でも、準備や片付けはできるだけ手間をかけたくないもの。
そんなわがままを叶えてくれるのが「にゅうめん」です。
「にゅうめん」は、そうめんを温かいだし汁で煮て食べる料理のこと。
語源は「煮麺(にめん)」がなまって「にゅうめん」になったと言われています。
そうめん発祥の地とされ、「三輪そうめん」が有名な奈良県・三輪山麓では、古くから夏は冷やしそうめん、冬はにゅうめんと、一年を通してそうめんをたのしむ食文化が根付いています。
そもそも三輪そうめんは、麺が細いのにコシがしっかりとあるので、にゅうめんに適していると言われています。包丁を使わず、麺をひねりながら、熟成と引き延ばしを繰り返す伝統的な「手延べ製法」でつくられているため、グルテンが整列し、弾力のある麺になります。そのため、あたたかい汁でも伸びにくく、煮崩れしないのでにゅうめんとの相性がぴったりなのです。さらに、麺の表面が滑らかで口当たりがやさしく、小麦の風味もしっかり出ているので、シンプルな味付けでも満足感ある一品になります。
我が家でも、寒い季節にはにゅうめんがよく食卓に登場します。
夏に買い込んだそうめんが余りがちなので、パスタやうどん、ラーメンと並ぶ「常備麺」として胃袋を満たしてくれます。
にゅうめんの一番好きなポイントは、胃にやさしいこと。
夏に食べる冷やしそうめんもですが、「食欲ないなぁ...」という日でも、にゅうめんなら消化も早いし、見た目もあっさりしているので胃に負担をかけずにスルスルと食べられるような気がするのです。
たっぷりのおだしに、ネギや椎茸、卵、生姜など冷蔵庫にある食材を一緒に煮込み、別ゆでしたそうめんを最後に投入すれば、はい、完成。
お気に入りのうつわによそっていただきます。
また、「そうめんのふし」といって、そうめんを製造するときに出る端の部分(つまり商品にならない部分)だけを集めたものも常備していて、大活躍しています。
すこし小腹が空いたなぁというときに味噌汁やスープに入れると、塩分もほどよく足され、ボリュームも出て満足度が高まります。
外食や買ってきたものも便利ですが、簡単なものでもやっぱり「自分で料理をする」って大切なことだなぁと思います。具材に悩んだり、食材を切ったり、煮えるのを待つ時間だけは、日常の慌ただしさから離れることができる。自分でつくったご飯で自分を満たすことができたら、それが小さな達成感となって、明日をがんばる力になるような気がするのです。
みなさんも夏に買い込んだそうめん、余っていませんか?
今年はぜひにゅうめんで、身体も心も温めてくださいね。

高根恭子
うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
