日に日に日差しが強くなり、今年も暑い夏がやってきました。
すこし外に出ると汗が滝のように流れるので、こまめな水分・塩分補給はもちろん、帽子やミニ扇風機・ネックカバーなど暑さ対策グッズが欠かせません。まだ身体も暑さに慣れていない時季でもあるので、油断せず過ごしたいところです。
そんな季節に、もうひとつ気をつけたいことがあります。
夕方になると急に空が暗くなってゴロゴロ...。雷の音とともに雲行きが怪しくなり、突然ザーッと激しい「夕立」が降ることがあります。
夕立は、夏の午後によく降る、急激な雨のことを言います。
この雨が降る仕組みは、夏の強い日差しで暖められた地表付近の空気が軽くなって上昇し、上空の空気に触れることで冷やされます。すると、空気中の水蒸気が集まって雲ができ、やがて縦に大きく発達した積乱雲となります。その中で雨粒が大きく成長すると、ザーッと強い雨が短時間に降り注ぐのです。
夕立のいちばんの特徴は、積乱雲の大きさは数キロメートルほどと比較的小さく、雨が降る範囲も局地的であることです。いきなり雨に降られて「あ!傘を持っていない」と慌ててしまうときでも、夕立はすぐにやむことがほとんどです。よほど急ぎの用事がない限りは無理に動こうとせず、どこかで雨宿りでもしながらのんびり待つことをおすすめします。
また、夕立は俳句の世界では夏の季語として親しまれてきました。
過去に詠まれた句には、急激な雨に慌てる様子を描いたり、明るい空が一転して暗くなり、やがてまた晴れる気候の変化に心情を重ねたりした句が多いような印象でした。今と変わらない景色を昔の人たちも見ていたのだなぁと思うと、どこか親近感がわくようです。
私は夕立が降った直後の「清々しい空気」が好きです。
つい先ほどまで大雨だった痕跡は残りつつ、目の前には晴れやかな景色が広がります。
しっとりした空気、再び動き出す人々や生きもの、艶やかな植物、空いっぱいに彩られた大きな虹。悪いものもすべて洗い流してもらったような、特別な開放感を感じます。
さらに夕立に遭ううちに「諦め」もつくようになりました。
傘を持っていない、靴がビチャビチャ、電車が遅れた...。けれどそれらはもう、自然現象なのでしょうがない。自分ではどうにもできないことですから、潔く諦めて、過ぎ去るのをゆっくり待ちます。逆にその時間に、誰かとお話したり、本を読んだりと新しい出会いや気づきに遭遇することもしばしばありました。そんなときは自然から思わぬギフトをもらったようで心がホクホクします。
今年も夕立に降られながら、移ろう季節の景色をゆっくり味わいたいと思います。
※参考文献
下中 弘 『世界大百科事典』平凡社( 1997年)

高根恭子
うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
