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紅葉衣もみじごろも

旬のもの 2026.11.06

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秋も深まり、過ごしやすい季節がやってきました。
木々はすっかり秋の装いに変わりました。休日には、紅葉狩りに出かける方も多いのではないでしょうか。

毎年この季節になると、赤や黄色に染まった木々の美しさはもちろん、はらはらと舞い散った葉が、地面を絨毯のように覆う景色にも風情を感じます。秋の終わりを惜しむような寂しさが、いっそう美しさを際立たせているようです。

葉を落として裸になった木々にもまた、違った魅力があります。華やかさの名残をまといながら枝ぶりがあらわになり、それぞれの木々の個性がよく見えてくるからです。繊細な木や無骨な木、まっすぐ上に伸びる木や横に広がる木。どの木々も、それぞれの姿で次の季節を待っているのだと思うと、そのたくましさに心を打たれます。

目の前の景色が変わりゆく時季にぴったりの言葉を見つけました。「紅葉衣(もみじごろも)」です。辞書によると「紅葉襲(もみじがさね)の衣」を意味し、晩秋に用いられた衣服の重ね着やその配色を指す言葉だといいます。平安貴族の装束には「襲(かさね)の色目」と呼ばれる色の組み合わせがあり、「紅葉襲」もその一つです。表を紅や赤、裏を濃蘇芳や青などに配したとされ、秋に色づく紅葉を思わせる色合いを感じます。また、「紅葉衣」は晩秋の季語にもなっています。

自然の美しさを衣服や俳句に映しとる...。そんな昔の人々の感性はすてきだなぁと思います。

私が「紅葉衣」と聞いて、すぐに思い浮かぶのはウールのマフラーです。
もう8年ほど愛用しているお気に入りのマフラーで、だいぶ年季が入ってきたのですが、この季節になると必ず身につけます。あたたかくて、軽くて、ふわふわとやさしい質感。赤やオレンジ、緑、茶色が入っていて、このマフラーをつけると秋と一緒にお出かけしているようで嬉しい気分になります。

写真提供:高根恭子

このマフラーを巻いて、紅葉のトンネルをくぐったことがありますが、そのときの情景が今でも忘れられません。歩くたびにはらはらと葉が落ちて、まるで絵画を見ているかのような美しい世界でした。彩り豊かな木々、枝ぶりがあらわになりはじめた木々、鮮やかな絨毯、マフラーの色合い...。すべてが調和しているようで心地いい時間でした。

いまだに写真を見返すと、不思議とそのときの状況や心情までも思い出されます。肌寒かったなぁ...からはじまって、あのとき一緒にいた人、近くにいた人、あのとき抱いていた希望や不安。いろいろなものが入り混じったあの瞬間のことを、今もありありと思い出します。

かつて「紅葉衣」を身につけた人も、俳句を詠んだ人も、それぞれに思い出す景色があったのかもしれません。どこで、誰と、どんなときに見たのか。美しい景色とともに生まれた思い出を、ひとりひとりに聞いてまわってみたいものです。

今年もお気に入りのマフラーを身につけて、秋の終わりを満喫したいと思います。

※参考文献

新村 出『広辞苑 第三版』 岩波書店(1983年)

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高根恭子

うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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