「そぞろ旅」と題して、ゆかりのある場所を訪ね歩く新シリーズを始めました。
記念すべき第一回は、初夏の気持ちいい日差しに導かれ、やきもののまち・岐阜県多治見市へ。多治見は伝統ある美濃焼の産地として有名で、タイルの一大産地でもあります。暦生活でも販売させていただいている人気のあるブランド・七窯社(ななようしゃ)さんのお店があり、一度訪れてみたいと思っていた場所でした。

〈公開予定 ※全4回予定〉
第2回...6月17日/第3回...6月24日/第4回...7月1日

第1回「タイルミュージアムと七窯社、ころうどんと永保寺」









多治見駅の陶壁とタイルマン
美濃焼の産地、岐阜県多治見市までは、大阪からは片道2時間ほど。名古屋駅で乗り継いで、JRで山の中を揺られながら多治見駅へ到着。改札を抜けると大きな陶壁が迎えてくれました。作品名は「ひびきあう声」。後で調べたところによると、七代目 加藤幸兵衛さんという陶芸家の作品で、"このかけがえのない地球上で生を営むものたちが、皆、等しく楽しく美しくひびきあっている様子を表しています"とのこと。力強く、深みのある綺麗な色をしていて、近づいたり離れたりしながら、じっくりと鑑賞させていただきました。
この日は天気がよく、駅構内に入ってくる光が綺麗でした。聞くと、『キン肉マン』に登場する「タイルマン」の等身大の像があるとのことで、スマホを頼りに探し歩くことに。当初は南口付近にありましたが、移設されたようで北口方面でようやく発見。全身がタイルでできている「タイルマン」は、多治見市を象徴するキャラクターとして地元の人々から愛されているようです。実際に見てみると迫力抜群。こんなの絶対に勝てそうにないわ...。











美濃焼タイルの新しい楽しみ方を発信する「七窯社」
まず向かったのは、多治見の地でタイルの新しい楽しみ方を模索し伝えている「七窯社(ななようしゃ)」さん。「七窯社」は、3代目である鈴木社長が始められたブランドで、"建物を彩る建材から、人を彩るアクセサリーへ"という思いのもと、美しいタイルアクセサリーなどを手がけられています。暦生活でも販売させていただき、入荷してすぐに完売するなど、とても人気があります。この日は鈴木社長とお会いする約束をしていて、親切に工房を案内してくださいました。その時の様子は「工房見学記」として後日まとめてお届けしますので、お楽しみに。
お店の外観は全てタイルでできていて、社名の文字も看板も、タイルで埋め尽くされていました。さすが、このあたりは徹底されています。店内はやわらかな照明のおかげかあたたかな雰囲気で、丁寧に手作りされた作品に囲まれた居心地のいい空間でした。自分へのご褒美に、誰かへの贈り物に。ついつい選びすぎてしまう、素敵な作品がたくさん並べてありました。
伝統を大切に受け継ぎながら、作り手自身が本当に欲しいと思えるもの、愛せるものをひとつひとつ丁寧に形にされています。多治見へ行かれる際は、ぜひぜひ七窯社さんへお立ち寄りください。笑顔が素敵な社長さんに会えたら、ラッキーかも。



多治見発祥の「ころうどん」
今回のそぞろ旅でどうしても食べたかった「ころうどん」。どうやら多治見の地で生まれたうどんなのだとか。東海地方で食べられている冷たいうどんで、「ころ」は「香露」とも書き、「冷たくても香る露(つゆ)」が語源だと言われています。日本一暑い街として埼玉県熊谷市と並ぶ多治見市なので、冷たいうどんが好まれるのも納得です。
今回は、多治見市宝町にある「す奈は」さんでころうどんをいただくことに。暖簾をくぐると、うどんをこねる職人さんが。こういうのを見ると、否が応でも期待が高まります。閉店間際になんとか入れたのでお店は空いていましたが、お昼どきには行列ができるほど人気のお店なのだそうです。
そしていよいよ...運ばれてきたころうどん。まず目に入ったのは、でんと添えられていたわさび。うどんとわさびって、あんまりなかった組み合わせかも。そんなことを思いつつ少しだけ絡めてうどんをいただく。濃く甘いおつゆともちもちのうどん、そしてわさびが合わさるととても爽やかで、思わず「うまあ〜」と声が出てしまいました。これまで食べたうどんの中でも、1位2位を争うかも...。いや、冷たいうどんでは多分1位やな...。という美味しさでした。食べに来られてよかった。ご当地で愛されている食べ物をいただくのも、旅の醍醐味ですね。












国宝を擁する「虎渓山 永保寺」
それにしても、この日は1日中好天に恵まれました。多治見市のことを思い返してみると、景色と共に爽やかな日差しや木漏れ日のことが思い出されます。旅の思い出と一緒に、空の青さや雲の形もなんとなく覚えていて、それがなんだか嬉しい。
ころうどんをいただいた後は、多治見市虎渓山町にある虎渓山 永保寺(こけいざん えいほうじ)にやって来ました。臨済宗南禅寺派の禅寺で、創建は1313年。鎌倉時代に建てられたのだそうです。国宝を2つ擁し、庭園は国指定名勝になっています。この日は平日の昼下がりだったためか、拝観者は私たちだけで、ゆっくりと歩くことができました。ちょうどこの日は旧暦の花祭りの日で、お釈迦様の小さな像がお堂に安置されていました。甘茶を優しくかけ、手を合わせます。
庭園は新緑が美しく、この場所だけ時間がゆっくりと流れているかのよう。池に映った青空も綺麗です。ひときわ目立っていたのは、大きなイチョウの木。なんと樹齢700年なのだとか。秋には黄葉し、さぞ美しいのでしょう。ネットで検索してみようかと思いましたが、なんとなく思いとどまる。またこの場所に来る時の楽しみにとっておくことにします。国宝のひとつ、開山堂の周りは林になっており、木々によって日の光が抑えられ、ここだけ厳かな空気に満たされていました。イチョウの木と同様に、いくつもの時代を超えてここに存在していることへの畏敬の念と共に、見つめていると時代を遡ってしまいそうな、なにか不思議な力を感じました。
※写真は掲載許可をいただいております

















ジブリに出てきそうなモザイクタイルミュージアム
今回は日帰りの旅だったので、時間的に次が最後の目的地に。永保寺から一度多治見駅に戻り、そこからバスで移動...しようと思っていたのですが、まさかの乗り遅れで、目の前で置いていかれることに。仕方がないのでタクシーで移動し、多治見市笠原町にある多治見市モザイクタイルミュージアムに到着。まるでジブリ映画に出てきそうなミュージアム。建築家、藤森照信氏の設計で、タイルの原料である粘土山をモチーフにした外観が特徴的です。「タイルについての情報が何でも揃い、新たな可能性を生み出すミュージアム」。多治見らしくてすごく素敵です。
かわいらしい形の木の扉が開き、いざ館内へ。まず出迎えてくれたのは、これでもかとタイル張りされた車。こうなるとどれもジブリっぽく見えるから不思議です。フロアーは4Fに分かれており、それぞれ趣旨の異なる展示がされています。その中でも一番印象深かったのは、4Fの展示でした。藤森照信氏がセレクトしたモザイクタイルの世界が広がっており、様々な場所から集められたタイル製品や絵タイルが飾られています。自然光が入り、どのタイルも優しく照らし出されていました。消火栓が収められている扉もタイルで覆われていて、なんだかここも"らしさ"が感じられていいなと思いました。

















フロアーを行き来する階段も設計者の世界観がきっちりと反映されていました。ひとつ降りて3Fはタイルの製造工程と歴史の展示室。モザイクタイルがどのようにして生まれたのか、その歴史や関わった人々の思いが刻まれていました。どこかノスタルジックな床屋さんで使われていたタイル。日本のタイル産業の発展に大きく貢献し、「モザイクタイルの父」と呼ばれた山内逸三さんの等身大パネル。このとき開催されていた特別展示「青の誘惑」では、約250枚の「青」のタイルパネルが白い箱状の部屋に張り込まれ、まるで青色の茶室のような空間になっていました。どこか人を惹きつける色である「青」に囲まれた、忘れがたく美しい展示でした。(※「青の誘惑」特別展示は現在終了しており、5/24〜9/28までは「旅するタイル-先駆者たちの足跡-」が開催されています)
2Fは最新のタイル情報が分かるフロアになっており、家庭のキッチンやお店でのタイルの使用イメージなどが展示されていました。1Fにはミュージアムショップがあり、かわいらしいタイルの商品がたくさん並んでいました。中には七窯社さんのブローチも。手に取りやすい価格帯のものが多く、ついたくさん買い込んでしまいそうになります。ミュージアムを出ると、もう日が傾いていました。振り返ると、斜陽に照らされた特徴的なシルエットが美しい。美濃焼タイルの産地である多治見で、タイルのことを学び知る。とても価値のある体験でした。
※写真は掲載許可をいただいております
お土産の「おすそわけ」
多治見の伝統的な米菓「たじみあられ」
今回のそぞろ旅のお土産に、「たじみあられ」を買って帰りました。たじみあられは、岐阜県多治見市で作られている伝統的な米菓。その中でも、「村瀬のたじみあられ」さんのたじみあられを選びました。一般的なもち米ではなくうるち米を使うことで、他にはない軽い食感を生み出しています。

この「たじみあられ」を、少しだけ「おすそわけ」できればと思います。参加方法を下に書かせていただきましたので、ぜひご参加ください。
「おすそわけ」の参加方法
- 暦生活の公式X(@543life)をフォローしてください。
- この記事を読み、感想をXでポスト。その際、ハッシュタグ「#暦生活のそぞろ旅」を付けてください 。
- 2025年6月10日〜7月10日までにポストいただいた方の中から、抽選で10名様に「たじみあられ」をおすそわけ(プレゼント)いたします。
- 抽選により当選された方には暦生活の公式X(@543life)からダイレクトメッセージをお送りいたします。
当選された方には、商品発送のため、以下のフォーム(暦生活公式サイトの新規会員登録)よりご入力をお願いさせていただきます。(ダイレクトメッセージでもご案内いたします)
※商品の代金や送料は全て当社が負担いたします
※「たじみあられ」の賞味期限は2025年11月10日になります
そぞろ旅〜岐阜県多治見市の旅 今後の公開予定



岐阜県多治見市・七窯社のおすすめ商品
今回訪問させていただいた七窯社さんのアクセサリーを少しだけご紹介します。詳しくはそれぞれのリンク先からぜひご覧ください。
釉薬の表情が美しいペンダント「とろり」
七窯社ならではの技術で、一点一点丁寧に仕上げられた陶器製のアクセサリー。釉薬がトロッと溶けた美しさや、混ざり合う揺らぎ。そんなアトリエでしか味わうことのできない感動を、アクセサリーに閉じ込めました。

耳元を上品に彩る青い輝き
「青星」と名付けられた深い青色は、静かな夜の空のようにも、遥か彼方の宇宙のようにも感じられます。金具部分はゴールドで、釉薬のきらめきをより際立たせてくれます。

自然の中に溶け込むようなペンダント「海」
まるで深い海の世界を映し出したようなペンダント。美濃焼の産地、岐阜県多治見市にある七窯社と、陶芸作家 梅澤 真那さんのコラボ商品です。