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端午の節供と6月|民俗学と楽しむ年中行事

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私たちの暮らしには、季節ごとに様々な年中行事が根づいています。民俗学的には、古来より日本では年中行事を通して、不思議な「ちから」を補ってきたと考えられています。今回は、関西学院大学社会学部教授・島村恭則先生に、6月のならわしについて、紐解いていただきました。

ケの日、ハレの日

昔の人は、人知を超えた不思議なちから、霊力が世の中には存在していて、それが「よいこと」をもたらしてくれると考えていました。霊力は毎日の生活の中で段々弱まってくると考えられ、年中行事やハレの日は、こうした霊力を補う機会としての役割を果たしてきました。

異界の存在に触れ、山に入って行ったり海に入って行ったりして、異界の霊力をもらうことで、ちからを充填し、日常に戻っていくのです。それは人間の認知的センス・思い込みとも言えるものですが、上手に活用することで、今を生きる私たちも、そこから日々の暮らし方や生き方のヒントを汲み取ることができます。

旧暦と年中行事

今では年中行事は新暦に合わせて行われることが多くなっていますが、本来は旧暦で考えた方が分かりやすいもの。それというのも、年中行事は月の満ち欠けに合わせて行われていたことが多かったからです。

旧暦5月も女性の節供?

5月5日といえば、尚武の節供として男の子の日だとされることもありますが、もともとは3月・4月と同様、神を迎える準備を行う、女性の日でした。
「オンナノイエ」、「オンナノヨ」、「オンナノヤネ」などと言って、女性たちが家にこもって神を迎えることもあれば、かつては山に入ることもありました。

端午の節句の本質は、日本では、農耕開始期に女性が山に入って霊力をいただくことにありました。女性たちが異界と接触して元気になる日だったのです。

繰り返す年中行事

3月、4月、5月と、似た行事が繰り返されることにお気づきでしょうか。どうして同じ地域で、何度も同じようなことをするのでしょうか。そのうえ儀式はやたらと細かく、面倒くさいものが多い。研究書にも、それがなぜなのかは書いてありません。

ところが認知民俗学的に考えると、分かりやすい。人には、コストをかければかけるだけ、見返りが大きくなるだろうという認知があります。丁寧に繰り返すコストをかけることで、安心感を得ようとしているのです。1回、2回では神に届かないかもしれないと考えて、何回もお願いをするのです。

厄払いと尚武の節供

中国では、5月5日は厄払いが行われていました。ところで、「厄」とは何でしょう。民俗学では「厄」とは、病気の源、悪いことの源、マイナスの霊力だと考えられています。実は「厄」も霊力。霊力にもプラスとマイナスがあり、「厄」はマイナスの霊力です。プラスの霊力を取り入れると同時に、悪い霊力を払い退けるため、厄払いが行われていました。

5月5日の厄払いでは、殺菌効果があると考えられていたこと、葉っぱが切れやすいことから、厄を断ち切れるということに通じ、菖蒲が用いられていました。元来は女性の日だったものが、菖蒲を刀のような感じで遊んだり、兜を作ったりと子供が遊ぶうちに、「尚武」につながります。そして、3月3日が女の子のひな祭りなら、5月5日は男の子の日と、二元論の対比がなされるようになり、今に至ります。


年中行事はたくさんあるので、全部やろうとすると大変ですけれど、一つでも好きな行事を選んで楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと気持ちが豊かになります。ぜひ、自分で年中行事をデザインして、生き生きと暮らしてみてくださいね。

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島村恭則

民俗学者・関西学院大学社会学部長 教授
東京都杉並区生まれ。兵庫県西宮市在住。好きな季節は、沖縄の「うりずん」。3月下旬から4月下旬にかけての一年でもっとも爽やかな季節のこと。著書に『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門』(創元社)などがある。

暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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