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二十四節気と暮らしの道具/小満しょうまん

二十四節気と七十二候 2024.05.20

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小満 5月20日~6月4日 4月中〈万物盈(えい)満すれば草木枝葉繁る『暦便覧』〉

金魚鉢にメダカを泳がせる

どこを見ても、緑あふれる季節、小満です。いまや万物が長じ、天地に満ち始めるという意味の小満。草木の花が咲き、さらに実を結び始め、新緑の輝くなかで虫も鳥も活発に動き出します。蚕も桑の葉を勢いよく食べ始めました。そして、麦畑だけが秋を迎えて、金色に波打っているようです。

日によっては気温が上昇して汗ばむこともあるころ。水も冷たからず、金魚鉢のメダカも元気に泳いでいる様子です。これからは、卵から小さなちいさなメダカの赤ちゃんの誕生ものぞめる時季。水草に産み付けられた卵を見逃さないように、張り切って金魚鉢の掃除をすることにします。

卵を見つけたら、すぐに卵のついた水草は、別の水槽へ。メダカは自分の卵なのに、平気で食べてしまうので、気をつけなければなりません。夏じゅう産卵のたびに卵を移していたら、いつの間にか金魚鉢が増えてしまいました。

水を張ったガラスの鉢の中を泳ぐメダカ。涼しげで優雅でのんびりしていて、見ているといつまでも飽きません。餌をやると、大急ぎで水面に上がってくるのも愛おしい。明るい緑の水草がまた、水中の世界に彩りを添えています。

金魚鉢の掃除も、これからの季節は苦になりません。冷たい水がかえって手に気持ちよく、たわしでこすってきれいにすると、こちらの気持ちもスッキリします。水は、バケツに汲んでよく日に当てた日向水を。

すっかりきれいになった金魚鉢に戻ったメダカは、最初戸惑った様子で隅の方に固まっています。が、次第に慣れてきて元気よく泳ぎ回るように。「気持ちいいね、明るくなったね」と心で声をかけながら、泳ぐ姿をいつまでも眺めているのでした。

小満は、もともとは田植えの準備をする時期でもありました。気づけば梅雨が近づいてくるころ。小満の節こそ、新緑が最高潮に美しいとき。メダカの世話をしながらも、存分に味わいます。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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