大寒 1月20日~2月2日 十二月中〈冷ゆることの至りて甚だしきとなればなり。『暦便覧』〉
湯たんぽであったかに
大寒、寒さの極です。毎日寒さにさいなまれ、春の訪れを待ち遠しく思う時季。氷に霜柱、つららに積雪。寒気がつくる冬の造形に目を奪われつつも、やはり寒い寒い。二十四節気最後の節気なので、大寒が終わるといよいよ立春が待っています。それまでしばしの辛抱です。
寒中に暖をとるのにはいろいろな方法がありますね。まずは暖かい衣服を着ること。厚手の下着に加えて、腹巻き、靴下、襟巻き、帽子。さらに、部屋を温める暖房器具も。こたつにストーブ、空調に、火鉢もあります。外に出かける時は、カイロを携行する方法も。さらにあったか、湯たんぽも寒中のあったかい味方です。

湯たんぽは、漢字で書くと「湯湯婆」。「ユユバア」と読めますが湯婆をタンポと読むのは唐音です。そうそう「湯」は湯麺(タンメン)のタンですね。湯婆だけでも湯たんぽを意味するようですが、「ゆたんぽ」という音が、あったかく聞こえてきていい感じです。
考えてみたら、カイロは漢字で書けば「懐炉」。懐に入れる炉なわけですね。今は、使い捨てカイロが主流。鉄粉の化学反応の際に出る熱を利用したものです。それ以前のカイロは、たしかに小さな炭火や揮発油の熱を利用していました。まさに「炉」。
カイロといえば、アンカもありますね。こちらも元々は炭火を入れて使うものでしたが、その後電気アンカが普及しました。足を温めたり、湯たんぽと同じように布団の中に入れて暖をとったりするのに使います。カイロの大型版。こちらは漢字では「行火」と書きます。
幼少時、お店にブリキの湯たんぽが並んでいるのを見て、長い間なにかのお面なのかと思っていました。どこかで見た剣道の面と混同していたのかもしれません。家では湯たんぽを使っていなかったのですね。見たことがなかったので、なにに使うものかわかりませんでした。

また、寒冷地に暮らす友人宅を訪ねたときにも、見慣れない陶器の容れ物が部屋に置いてありました。これは何かと尋ねたら、湯たんぽと聞いてびっくり。イギリスのアンティークだそうです。
「あったかいのよ~」
友人はそう言いました。たしかに見るだに暖かそうな、柔らかないい形をしていましたっけ。イギリスの冬も寒そうですから。
立春まであと少しの辛抱、湯たんぽはじめ、お好みの暖房器具であったまって、寒中をサバイブいたしましょう。

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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