◎穀雨 4月20日~5月4日
蕨(わらび) こごみ 楤の芽(たらのめ) 姫竹 茶巾ずし
新茶
晩春も最晩春、春の最後の節気、穀雨となりました。春が爛熟して草木の花が咲きこぼれ、その花が春雨で濡れそぼっています。百穀を潤す春の雨、それが穀雨。春の長雨には別名があって、菜種梅雨とも呼ばれます。
そんな雨は、百穀だけでなく茶の木にもたっぷり注がれましょう。慈雨を受けて枝先の新芽は柔らかく艶やかに育ち、そっとひらいた様子。この新芽「一芯二葉」で香り高い新茶がつくられます。
毎年新茶を心待ちにしている人は多いことでしょう。「新茶」「初摘みのお茶」「八十八夜のお茶」などなど、こんな言葉を聞いただけで強い反応。ご案内をすれば、今年の八十八夜は5月2日です。かくいうわたくしも、新茶に激しく反応する一人。なにしろお茶所・静岡の生まれなので、子供の頃から浴びるほどお茶を飲んできました。お茶なしの人生など考えられません。
新茶の魅力は、その鮮やかな水色(すいしょく)と香り。緑色のお茶は新茶ならでは。そしてフレッシュなうえに濃厚な香りは、お茶の芽を直接味わっているかのように感じられます。うまみが凝縮されたお茶は、飲んでものんでも、もう一杯!
新茶を淹れたあと、急須の蓋を取って中を覗くと、まだまだやる気満々の様子を見せている新茶殻。色が美しく、ツヤツヤしています。やはり若いって素晴らしい。ついそんなことを思ってしまう新茶です。
文・イラスト 平野恵理子

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
