こんにちは。和菓子女子のせせなおこです。
食いしん坊の私は、秋といえば?と聞かれると、「食欲の秋!!」と叫んでしまいます。栗にかぼちゃにさつまいも。お米にお魚。うーん、何から食べようかな!大好きな夏が終わって少しさみしい気分で迎える秋ですが、そんなことを忘れさせてくれるくらい、おいしいものであふれるお気に入りの季節です。そして和菓子になくてはならない小豆も旬を迎え、和菓子にとっては大活躍の季節がやってきます。

はじめて東京で過ごした秋のこと。多くの和菓子屋さんで”栗蒸し羊羹”が売っていることにとてもびっくりしました。なぜなら、九州で過ごしている時は目にしたことがなかったから。さらにびっくりしたのは大きくて立派な栗がどーん!と入ったそのビジュアル。“栗蒸し羊羹”という存在に圧倒されてしまいました。

栗蒸し羊羹は1919年、成田山の精進料理の一つであった蒸し羊羹に栗を入れたのをきっかけに誕生しました。それから、皇室の御用や成田山御用達として用いられるようになり、今では多くの和菓子屋さんで秋を楽しむ和菓子として親しまれるようになりました。

栗蒸し羊羹で思い出すのは、ふらっと入った和菓子屋さんに並ぶショーケースを眺めていた時の出来事。大きな栗蒸し羊羹が目の前に輝いていて、でも一本は食べきれないし…と悩んでいました。すると、奥から出てきたおかみさんが「栗蒸し羊羹の時期になったね〜!うちの栗蒸し羊羹は栗が大きくておいしいよ!カットもしてるから遠慮なく言ってね!」と笑顔で声をかけてくれました。今思うと、和菓子屋さんの何気ない一言のおかげで、少し敷居が高いように感じていた和菓子との距離がだんだん縮まり、気軽に和菓子を食べられるようになったんだな、と思います。

カットしてもらった栗蒸し羊羹にはおかみさんが言っていた通り大きな栗が入っていて、とても贅沢な気分を味わうことができました。さらに、蒸し羊羹はもっちりとした食感が特徴。それまで羊羹といえば煉羊羹という概念しかなかった私にとって、お餅や白玉のように、もっちりとした弾力のある羊羹は魅力のかたまりでした。好きにならないわけがない…!
そんなわけでここ最近は今年はどこのお店の栗蒸し羊羹に出会えるかな、とワクワクするのが秋の楽しみの一つとなっています。
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