こんにちは。和菓子コーディネーターのせせなおこです。
寒い季節になりました。寒くなるとやっぱり欲しくなるのはあたたかいもの。私の中で冬の和菓子といって真っ先に思い浮かぶのがたい焼きです。持った瞬間まず手が温まり、食べて体が温まり、そのおいしさに心まで温まる、まるで魔法のようなお菓子だなぁといつも思っています。
私の育った九州ではたい焼き屋さんが少なく、”たい焼き”という存在は知っていたものの初めてたい焼きを食べたのは小学生の時訪れた東京でした。陽が落ちてだんだんと暗くなっていく時間帯、並んで買った駅前のたい焼き。パリパリの皮を一口かじると、中からたっぷりのあんこが出てきました。さらに、かじったところからは白い湯気…!あ〜幸せだなぁ。
東京には東京三大たい焼きと呼ばれる名店があります。四ツ谷のわかば、麻布十番の浪花家総本店、人形町の柳屋。どのお店もいつも行列ができていて、並ぶ前はうーん、しばらくかかりそうだなぁとちょっぴり憂鬱になりがち。
しかし、順番が近づくにつれ、わくわくが大きくなり、たい焼きを手にしたとたん、やっぱり並んでよかったなぁ〜!と思います。たい焼きはこの並ぶ時間があるからこそよりおいしく感じるのではないかなと思えるほどです。もちろん他にもたくさんのお店があり、焼き方やあんこの量、鯛の表情や形など、自分好みのお店を探すのも楽しいですよね。
ずいぶん前、わかばでたい焼きを食べていた時のこと。(お店の中で食べる人は少ないので意外と穴場です!)お昼休憩と思われるサラリーマンがたい焼きを買いにきました。
とっても疲れた様子だったにも関わらず、たい焼きを受け取った瞬間、信じられないような笑顔になって、たい焼きにかぶりつきながらお店を後にしていく姿を見て、こちらまで嬉しくなってしまいました。
たい焼きのことを思い出すと、どんなシーンもあたたかくておいしくて、ホッと心が温まる思い出がよみがえってきます。
今年も終わりが近づいてきました。大変なこともたくさんあったけれど、楽しいことや嬉しいこともきっとあったはず。1年を振り返りながら、自分自身を褒めてあげてくださいね。どうぞ、身体も心もあたたかくしてお過ごしください。

