豆、人参、芋など野菜の呼び名によく用いられる「金時」。
へぇ、その由来は坂田金時さんという方のお名前だったんだ。
こういう食べ物にまつわる話、大好物。
漬物男子、田中友規です。
「金時」という名前が付いていると、なんとなくほっこり美味しそうな気がします。
時は平安、足柄山の力自慢であった金時さんは、源頼光にその力量を認められ、四天王の一人となったそう。力をこめると、顔が真っ赤になったことから赤い野菜にその名が採用されることとなった、と言われていますがもちろん昔の話ですから諸説あり。
しかも、それが後々、まさかり担いだ金太郎さんの昔話の原型になったというのですから
1000年を経て、いまに伝わる金時という名前の由来を調べていくだけでご飯三杯いけますね。
普段なにげなく呼んでいる名前にも、長い歴史があるものだなあ、と
ふと、金時さんの子孫はどうしているのか、と調べてみると
息子は「坂田金平(きんぴら)」だというじゃありませんか!
親子二代で美味しそう・・・
この話は、江戸時代の人形浄瑠璃の演目「金平浄瑠璃」という形で伝承されており、当時、豪傑が活躍するダイナミックな物語が、庶民を熱狂させたのでしょうね。
過去から今に繋がっている糸をみつけると、なんともわくわくしてしまいます。
八百屋さんは菜葉の緑、大根の白、金時人参の赤と、すっかり冬らしい色になりました。
金時人参の栄養価は血圧改善のカリウム、抗酸化作用のβカロテン、
赤い色素には、血糖値を下げるリコピンも豊富。
気温がぐっと下がるこの時期に、彩り鮮やかな栄養をしっかり摂って金時さんのように身体を丈夫にしておきたいところです。
オレンジ色の西洋人参に比べて甘みが濃くて、食感もキメが細かい金時人参は、京都では、お雑煮に欠かせない具材として有名です。
頭芋、金時人参、そして丸餅。
京都の白味噌のお雑煮は甘い、なんて話は有名で、
はいはい、知ってます、知ってます、という感じだったのだけれど、
実際そのお雑煮は半端じゃありませんでした。
あっさりとした鰹出汁に、ただでさえ甘い白味噌にどばどばと上白糖を加えます。
うぐっ、と喉にくる強烈な甘味は、京都に来たばかりの僕には衝撃でした。
金時人参が甘い、とか感じる隙は一切ありません。
美味しいとか、まずい、とかそういうことではなく
昔から「こういうもの」なのだと理解して飲み込みました。
のちに、この甘いお雑煮は義祖母、義母、妻と繋がったその家だけの味であることがわかり、鰹出汁が強かったり、お吸い物のように水分が多かったりと、同じお雑煮、同じ具材、同じ土地であっても、それぞれで面白い。
東京の余所者がとやかく言うのは野暮ですから、
来年も、過去から繋がってきた甘いお雑煮をいただきます。
ところで頭芋ってなんだっけ?
白味噌ってどうやって作るんだっけ?
食材に出会うたび、一つ一つ、へぇ!とかふーん!とかやっていたら365日があっという間。
そう、食べ物にまつわる話、大好物なんです。
みなさんが知ってる、食べ物の由来や語源があったら教えてくださいね。
田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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