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千枚漬け

旬のもの 2023.01.27

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漬物男子田中友規です。

毎年暮れに千枚漬けを漬けるのですが、年末は新商品の開発や新しい会社の立ち上げで大忙し。手抜きでほんの少しだけ、30枚ほど漬けました。

本来、千枚漬けは水分も多く長期保存には向いていないので塩でしめて、酢と砂糖と昆布でさっと漬け込み、寒い時期に食べきってしまう1月中の楽しみです。

冷蔵庫の千枚漬けもあと数枚。あぁ、お正月も終わってしまうなぁ、と言いつつその余韻もまた良いものです。

写真提供:田中友規

お正月の風習は地域によって様々。正月飾りを飾っておくのも、関東地方では松の内の7日まで、関西では15日と決まっています。

特に京都では7日までを男正月、15日までを女正月と呼び、暮れから大忙しだった女性も一息ついてゆっくり過ごすのだそう。令和ではもうあまり聞くことがありませんがこういう時候に歴史の足跡がふと身近にあるのが実に京都らしいですよね。

京都のお正月が終わる15日、下鴨神社で「あずのおかいさん」が3年ぶりに振る舞われるとの噂を聞いて、それなら!と残りの千枚漬けをタッパーに入れて朝の下鴨へ出かけました。

写真提供:田中友規

「あずのおかいさん」とは小豆粥のこと。平安時代から親しまれた五穀豊穣や無病息災を願ったありがたいお粥で赤い小豆が邪気を払うと言われています。

写真提供:田中友規

下鴨さんに到着すると、接待前にもかかわらず給仕小屋の前にはすでに人だかり、あっという間に100人以上の行列となりました。何人前の用意があるかはわかりませんが、来年行きたいと思われている方はどうぞお早めに。

写真提供:田中友規

お粥は300円。手際よく受け渡しを行うのは婦人部の方々で女正月といいながら、むちゃくちゃ働いておられました。ゆっくりする時間はあったのだろうか、と気になりつつもほかほかのお粥を受け取ります。

写真提供:田中友規

白いお粥に小餅が入って、小豆が浮かぶ。なんとも美しい。味付けは思いのほかしっかりとした塩味がついていて、小豆の香りと米の甘さが引き立ちます。これだけでも十分おいしいのですが、ここは漬物男子。千枚漬けをちょいと加えて、自分だけちょっと贅沢をさせていただきました。

京都の正月が終わる1月15日に締めの小豆粥、そして暮れの残りものの千枚漬け。いよいよ2023年も本格的に動き出す空気を感じます。

さて、気持ちも新たに、と帰路につく手前、ふと茶屋が目に入ってしまい、ふらふらと立ち寄ってしまいました。下鴨といえば数年前に復刻した申餅(さるもち)ですね。こちらは葵祭の縁起物ですので今日は関係ありませんが小豆がもう少し食べたい口になってしまったので仕方ありません。

この日はとても暖かい朝だったので、気分はもう春。今年も健康で、おいしいものにたくさん会えますように。

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田中友規

料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。

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