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おかゆ

旬のもの 2026.01.31

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こんにちは、料理人の庄本彩美です。今日は「おかゆ」についてのお話です。

年末年始の喧騒が過ぎ、寒さが一段と深まるこの時期。毎年気をつけてはいるものの、ふとした隙に体調を崩してしまいがちだ。
そんな私も風邪を引いてしまった。重たい体に鞭を打って、やっとの思いで冷蔵庫を開ける。前日の残りのご飯を見つけ、私は「おかゆ」を作ることにした。

祖母が風邪の時に決まって作ってくれたおかゆは、炊いた白米をたっぷりの水で煮た、ぽってりと粘りの強いものだった。今、料理人として美味しさを追求するなら、生米から炊き上げるのが王道かもしれない。けれど、心身を労わる養生としての正解は、やはりこの、ご飯から作る優しさにあるような気がする。

「あまり時間はかけたくないけど、これだけはしておこう」。そう呟いてご飯をザルに移した。蛇口から流れるキンと冷えた水で、さらさらと洗ってお米を洗う。指先でぬめりを落としていくうちに、不思議と自分の中のよどみも流れてくれそうな気がしてくる。このひと手間で、濁りのない上品なおかゆになるのだ。

鍋にご飯を移し、静かに水を注ぐ。火にかけたら、じっくりと見守る。むやみに触れず、ゆらゆらと身を任せるお米を眺めていると、透明だった水が、ぷつぷつ踊りながらほんのり白んでくる。一粒一粒が輪郭を保たれたまま、徐々にご飯がおかゆへと姿を変えていった。
仕上がりの柔らかさは、その時の体調に合わせて。好みの加減にして、パラリと塩を振って火を止めた。

お茶碗に盛り、さらに自家製の梅干しと味噌を用意すれば、私の「心身を整える最強アイテム」の完成だ。
まずは梅干しをひとつ。祖母のものより少し塩分を控えた梅干しをひと口。純白のおかゆに乗って、梅の酸味が喉を駆け抜ける。ぼんやりしていた頭の霧が、すうっと晴れていく。次に、祖母に倣って仕込んだ倍麹の味噌をお茶碗の縁に少し。箸でそっと溶きながら啜れば、今度は味噌の滋味がじんわりと身体中へ広がっていく。
芯からポカポカと温まり、強張っていた何かがゆるゆると解けていく。心身が静かに整っていくのを感じながら、「やっぱりおかゆって、すごいな」と改めて思ったのだった。

今では、体からの微かなサインを感じるたびに、このおかゆを食べて、内側をそっと掃き清めるようにしている。時には野菜たっぷりのおじやにすることもあるが、基本はいつも、この潔いおかゆだ。

つい体調を壊してしまいがちなこの時期に、ぜひ「おかゆ」をおすすめしたい。
暦の上では、まもなく立春。新しい一年の始まりともされる季節の節目でもある。温かいおかゆで内臓を休め、心身を清めてみる。そんな自分を慈しむ時間を持つのもいいかもしれない。

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庄本彩美

料理家・「円卓」主宰
山口県出身、京都府在住。好きな季節は初夏。自分が生まれた季節なので。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。

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