こんにちは。気象予報士の今井明子です。
春は暖かく、心が躍る季節ですが、やっかいなのが空気中の不純物の多さです。
多くの人が悩まされるスギやヒノキの花粉はもちろん、大陸からは黄砂がやってきます。
黄砂のもとになるのは、中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原の砂です。黄土高原の砂は、中国で流れる黄河という大河の黄色い水のもととなるものです。
このような中国由来の黄色い砂が上昇気流で大気中に巻き上げられ、偏西風という上空を吹く強い西風に乗って日本や北米にまで飛来すると、黄砂と呼ばれるのです。
黄砂が春の風物詩なのは、冬は砂漠が雪で覆わることがあるからです。また、シベリア高気圧が鎮座することで上昇気流も発生しにくく、砂も巻き上がりにくくなります。さらに、夏になると雨が降りますし、植物も少しは生えてくるので、やはり砂が巻き上がりにくくなります。それで、冬と夏の間の春が黄砂の季節となるのです。
では、秋はというと、シベリア高気圧が勢力を強めつつある季節なので、本来なら黄砂はあまり飛ばない季節です。しかし、晩秋の2025年の11月、そして真冬の2026年1月には黄砂が日本にまで飛んできたことが話題になりました。季節外れの黄砂がなぜ発生したのか。それは、2025年の夏に、黄砂のふるさとが異常な少雨で土壌が乾燥し、砂が巻き上がりやすい状態になっていたからだと考えられています。
近年では黄砂のふるさとのあたりで過剰な放牧や、森林の農地への転換によって土壌が劣化しており、年々黄砂の頻度が上がって被害も大きくなってきています。黄砂が飛んでくると視界が悪くなり、外に干した洗濯物が汚れ、何かと厄介です。
しかし、海に落下した黄砂は、海に栄養分を供給して、海洋表層のプランクトンにミネラル分を供給し、海洋の生態系にも大きな影響を与えているという一面もあるようです。春は黄砂や花粉などの空気中の不純物のせいで、空は白っぽくなり、冬に見えていた山も見えにくくなります。春霞でなんとなく頭がぼんやりするのは、私だけでしょうか。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
