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編集部のつれづれ便り|冬

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一週間に一度、お便りをお届けいたします

暦生活編集部がつれづれと綴るお便りを、一週間に一度お届けいたします。
まったりひと休みする気持ちで、のんびり読んでいただけますと嬉しいです。

2月5日(木) 春爛漫を楽しみに

早咲きの梅の花は見ごろを迎えつつあり、本格的な春が遠からずやってくる足音が聞こえますね。

自分は何もせずとも、映画館に座っていれば映画が進んでいくように、自然も舞台を模様替えしてくれます。
梅が咲いて、桜も咲いて、若葉が芽生えて、日が長くなり、空はほんのり霞んで、花粉もたくさん飛ぶ。

流れる景色は見ているだけでも愉快ですが、植物と違って、自分の足で見たいものを見に行くことができるのが、人間に生まれた良いところです。
そういうわけで、今年の春は何がしたいかな、何を見に行きたいかな、とふんわりふんわり考え始めています。

桜の花が見える風景には三色団子があって欲しいですし、空が柔らかな水色になったらしゃぼん玉を通して眺めたいです。
春の海は暑くもなく寒くもなく、水面のきらきらを長く楽しめそうです。
それから、小難しげな本を開いて、3ページくらいで春の眠気に負けたい。
いかにもな見た目のぼた餅にがぶりついて、口いっぱいに頬張りたい。
雷を遠くに聞きながら、柔らかいクッションにもたれて、ほのぼのとしたお話を読んでいたい。
綺麗に整えた前髪を、春風にぐしゃぐしゃにされて、やっぱりこうなったか、って笑って諦めたい。

なかなか悪くない春になりそうです。

春らしいものたちです

1月29日(木) 何度でも、はじめから

今は二十四節気でいえば、大寒です。
来週の水曜日からは立春となり、新たな季節が巡り始めます。
それから、2月17日は旧正月。もう一つの新年ですね。

暦を読み解くと、いくつも区切りになるポイントがあって、何度でも仕切り直しができるような気がします。
年が始まって早々、出遅れちゃったな、足踏みしちゃったな、と思っても、「はじめ」の位置を再設定できます。

しょんぼりすることが起きてしまったとしても、今うまくいっていなくても、未来はまだ真っさらで、さぁこれから何色に彩ろうかな、と自分で決められることに、気付かせてくれるような気がします。

どういう一年を過ごしたいのか、どうやって季節とともに暮らしていきたいか、ほんとうはどうありたいか、考え直してみるチャンスをプレゼントされているようですね。

1月22日(木) 冬の柑橘

寒さが厳しい時期になると、何より嬉しいのは、果物コーナーに柑橘がずらりと並ぶことです。早くに日が沈んで暗くなりがちな冬の間、元気いっぱいの橙色が、日暮れと共に沈みそうになる気分を上向きにしてくれるような気がします。皮を剥けば、さわやかな香りが弾けるのも、すっきり晴れやかな気持ちになります。

柑橘の筆頭に数えなくてはいけないのは、やっぱり蜜柑。小ぶりの甘い蜜柑も、大きめの皮が厚めの蜜柑も、どちらも捨てがたい。まだ熟しきっていなくて酸味が残っているのも、一つくらいなら酸味も丸ごと寛容に愛することができます。芥川龍之介の『蜜柑』という短編を思い出して、「朗な心もち」になれるのも、大いなる魅力の一つです。

それから、ずっしりしていて「柑橘を食べるんだ」「柑橘を食べているぞ」「柑橘を食べきった」と思えるのは、でこぽん。おでこの所があまりに可愛らしいので、置いておくだけでも愛嬌たっぷり。鼻を近づけると、皮を剥く前からほのかに香り、期待が高まります。いざ、と皮を剥くと、お部屋中にでこぽんの香りが。ひと房口に運べば、ぎっしり詰まった果肉がぷちぷち弾けて、甘みと更なる香りがいっぱいに広がります。さっぱりしているので、どんどん食べ進めてしまって、いつの間にか最後のひと房もなくなっています。食べる満足度の高い、よい果物だなぁと思います。

柚子、金柑、伊予柑、八朔…。美味しい柑橘はまだまだあります。最近気に入っているのは、ぎゅーっと果汁を絞って、炭酸水で割る柑橘ソーダ。酸っぱくても苦くても、割ってソーダにすることで、ぐんと飲みやすく美味しくなります。ぜひ試してみてくださいね。

1月15日(木) 甘いもの尽くし

先週末、暦生活編集部のある大阪はとっても冷えましたが、皆さんの所はいかがでしたか。
こちらは風がびゅうびゅう吹いていて、骨の髄まで凍るかと思いました。
そんなお天気でしたが、私は京都にスイーツ巡りに行ってきました。

桂にある中村軒で和菓子を山盛り買って、三条のななやで玉露と濃い抹茶のパフェを食べて、出町柳ふたばに向かう途中和三盆シュークリームをつまんで、寒さに震えながら行列に並び豆大福を買って…という最高に素敵な一日を過ごしました。

スイーツって、食べる前から何を選ぼうかってわくわくできますし、目で見ていても楽しいですし、食べたら幸せになれますし、なんて素晴らしい存在なのでしょう。
週末を思い出すだけで、今でも幸せな気分になります。

中村軒の三色団子は黒糖とお茶が香り高かったなぁ、抹茶と玉露のジェラートは濃厚だけれどもさっぱりしていたなぁ、シュークリームはホイップが溢れるほどたっぷりだったなぁって、余韻まで美味しい。

一日の中でこれほど多くの甘いものを食べたことがなかったのですが、存外胃もたれもせず楽しく食べ続けられました。
甘いものに気を取られてお昼を食べ逃してしまいましたが、まあそういう日があっても良いですもんね。
はなまるの一日でした。

1月9日(金) 東京駅新幹線ホームの空気

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始、皆さまはいかがお過ごしでしたか。
私は実家に帰省して、のんびりしておりました。
色々愉快なことは多かったのですが、帰りの東京駅でのことが一番印象的だったので、お話しさせてください。

東京駅の空気が、なんとも冬らしくて良かったのです。

ホームの端で新幹線を待つ間、すうっと息を深く吸い込むと、冬らしさが凝縮されていました。
冷たくて、鼻の奥がつんとなるような、冬独特の空気。
ひややかな乾燥を直に感じるとともに、人のにおいと、外套のにおい、どこか焦げたようなにおいが香りました。
温度と湿度も、香りを形作る大切な要素なのだろうな、などと考えていました。

意外にも、都会の塵埃は感じられませんでした。
空気を見上げると、高く聳える建物のガラスに空の青さが映っていて、振り返ると氷色の空でした。
どこからか白いもやが立ち昇っているのも見え、何のあたたかみなのか、気になりました。
冷たい指先を、温かみの残された皮膚にあてて、ひんやり具合を確かめてみたのも、楽しかったです。
他の新幹線で係員の交代に際して、さらりと会釈を交わす様子もなんだか好ましく感じられました。

そうしているうちに、目的の新幹線が到着したのですが、中々ホームドアが開きません。
発車時刻も迫ってきたので焦りを覚え、駅員さんの案内を聞こうとイヤホンを外すと、一気に喧騒に包まれました。
いつの間にか、私の後ろにも人が並んでいたことに気が付いたのも、この時です。

間もなくホームドアが開き、新幹線先頭の輪郭はなめらかで美しいなと思いながら、そのまま視線を新幹線の線に沿って奥に滑らせると、遠くに陽炎のように揺らぐ空気が見えました。
あれを握り潰すことはできないのだろうな、などと思いながら新幹線に乗り込みました。

今思い返しても、良いひと時だったなと思います。

皆さまが過ごされた年末年始、一番の思い出は何でしょうか。
見たもの、美味しいもの、楽しかったこと、誰かとの会話、思い思いに過ごされたことでしょうね。
これからの新しい一年も、楽しんで過ごしていきましょう。

12月25日(木) 日の長さと夜の長さ

二十四節気は冬至を迎えました。
冬至といえば一年の中で、日がいちばん短く、夜がいちばん長い時。
秋の夜長とはいいますけれど、冬の夜は更に長いものなのですね。

空、植物、人…。
自然光で見える時間が少なくなってしまって、ちょっと寂しくなります。
朝光や夕陽に照らされる物体は美しいのに。

でも、「日中則昃、月盈則虧(日が南中すれば傾き、月が満ちれば欠ける)」。
いずれまた日の長さが戻ってくると分かっていればこそ、冬至の間も楽しもうという気になります。

冬至の楽しみの一つに、早い時間からキャンドルを点けられることがあります。
長い夜には、キャンドルの揺れる灯火も良いものです。

暗い部屋では、柚子の香りもことに芳しく感じます。
日が短くて、視覚以外が研ぎ澄まされるからでしょうか。柚子以外にも、他の香りや味もより濃く感じられるのでしょうか。はて。
試してみようと思います。

それからなんといっても、早寝遅起きが捗ります。
日が沈むのが早いと「もう寝る時間だ」、外が暗いと「まだ寝ていても良い時間だ」と思うので、お布団と大の仲良しになれます。
そんなわけで、来週はぐっすり寝ている予定なので、お便りはお休みいたします。

そういえば、今日はクリスマスでもありましたね。
皆さまにはこちらの一文をお贈りします。

”あなたの昼が日ざしにみち、あなたの夜が愛にみちたものでありますように”
『ジョナサンと宇宙クジラ』伊藤 典夫(訳) 、ロバート・F・ヤング(著)

素敵な年末年始をお過ごしくださいね。

12月19日(金) 迫り来る年の瀬と七味五悦三会

今年もいつの間にやら、冬至が目前となり、年の瀬も迫っています。
皆さまは年越しの準備はお済みでしょうか。

私はお恥ずかしながら、大掃除には手をつけていなければ、お正月飾りの準備も整っておりません。
年の瀬が迫っているとはいえ、まだ19日。
あと12日間あると思えば、まだまだ何かを成し遂げられそうです。

そういうわけで、やり残したことはないかと考えていると、今年の大晦日には、七味五悦三会を振り返りたいなぁと思っていたことを思い出しました。

七味五悦三会(しちみごえつさんえ)とは、江戸時代、大晦日に行われた風習です。
今年食べた美味しかった七つの食べ物、今年嬉しかった五つのこと、今年出会えてよかった三人の人について、語り合ったのだそうです。
素敵な風習だなぁと思っていたので、私も取り入れようと思っていたのでした。
大晦日にはまだ早いですけれど、ちょっと考えてみると、七味はすぐ思いつきました。

マレーシアのBOH TEAの、ライチとバラのフレーバーティー
明日香の柑橘を絞って炭酸水と混ぜた、柑橘ソーダ
胡麻とオレンジの月餅
父が作ってくれたお魚のスープ
京都・村上開新堂さんのダックワーズ
いただきもののラングドシャ
ダークチョコレートをたっぷり入れて作ったホットショコラ

まだまだありそうです。
年末までにも美味しいものをたくさん食べる予定なので、大晦日には変わっているかもしれません。
美味しいもの、嬉しかったこと、出会えてよかった人のことを考えると、幸せな気分になりますし、良い一年を過ごせた気になってきます。
大晦日がなんだか楽しみになってきました。
皆さまもぜひ今年の振り返りには、七味五悦三会を思い出してみてくださいね。

12月11日(木) ぴったりの作品

小説でも詩歌でも、季節の描写はぴったりその季節でないと、なんだか真実味が薄く感じられます。
真反対の季節は、かえって季節感が際立つので例外ですけれど。

ちょっと前後に時期がずれているだけで、なんだか遠く感じられて、ぴんとこないのです。
それぞれの季節に合わせて、ぴったりの文章を読むことで、より描写を楽しむことができ、また季節も楽しむことができるような気がします。

というのは、今日、魯迅『野草』に収録されている「雪」という短編を読んで感じたことです。
最後の部分を少しだけ引用します。

「果てしない広野の上、凜冽なる天空の下、キラキラと旋り舞い上がるのは雨の魂……
そうだ、あれは孤独な雪だ、死んでしまった雨だ、雨の魂だ。」

大地の枯れた草木も、ひんやりと乾いた土の質感も、大気の凛とした冷たさも、寂寥とした冬の雰囲気も、全てを我が身に感じられるのは、今が冬真っ只中だからだろうなぁとしみじみいたしました。

これを読んだ後に外に出れば、大地から天空へと、視線を移したくなるでしょうし、雪を見れば、雪の孤独と雨へと思いを馳せるでしょう。
その季節にぴったりの作品は、描写も倍楽しめますし、作品の目を通すことで季節もより満喫できて、嬉しいこと尽くしです。

皆様も、「今にぴったり」という作品を見つけたら、ぜひ教えてくださいね。

12月4日(木) 枯景色の良さ

芽吹きはじめた蕾、華やかに咲く桜、水々しい新緑、雨粒を滴らせる紫陽花、錦にたとえられる紅葉…。
季節はそれぞれに美しい場面があるものですが、冬は枯景色が味わい深いように思います。

冬の枯景色は、秋の紅葉や落ち葉とは異なって、もう少し光が鈍くなるような。
秋の自然は、黄色・紅色・金色と夕映えが美しいものですが、それと比べると、冬は落ち着いた深みのある色が多くを占める気がします。
紅葉と違って日が当たっても、きらきらと輝きはしないものの、やわらかな温かみを帯びて、こちらを見返しているような気がするのです。

蓮池などで、乾燥しきって焦茶色になった蕊が佇んでいる様子など、どの角度からでも見応えがあります。

そんな枯野に雪でも降れば、冷たい光が煌いて、そのまま枠に閉じ込めて飾りたくなります。
皆さまは、どんな冬景色がお好みでしょうか。
ぜひ教えていただければと思います。

11月27日(木) 寒くなると読みたくなる本

秋はしみじみとした小説や、紅葉を歌いあげた和歌が気分でしたが、寒くなると手が伸びる本も顔ぶれが様変わりします。

なぜか冬にばかり読んでしまうのは、川端康成。
「奇術師」と呼ばれるほどに、多様な作品が残されていますが、どの作品を読んでもどことなくあたたかみが感じられます。
やわらかな練絹に包まれるかのような、あたたかなミルクのような、そんなやさしさのある文章です。

ひとつひとつの言葉が美しく、織りなす舞台もまた美しい。
とはいえ、決して表層の美しさにとどまることはなく、その奥には幽玄な世界が広がっていて、読み進めるうちに、いつの間にがずぶずぶと引き摺り込まれてしまうのです。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」

もうすぐ訪れる白い季節を前に、『雪国』を読んで冬支度をしてみませんか。
文豪が綴る叙情の世界に、溺れることができるはずです。

11月20日(木) ホットドリンク

冬になると、途端に愛おしくなるホットドリンクです。
体に良くないと分かっていながら、夏場は浴びるように冷たい飲み物を飲んでいましたが、「今日からは違う、もうホットドリンクの季節だ」と、悟る日が急に来るのです。
今年は一昨日、来ました。

ココア、紅茶、コーヒー、ハーブティ、ホットショコラ、ほうじ茶、甘酒…。
紅茶とほうじ茶に関しては、別に夏秋も飲んでいたけれど、これほど美味しかったかしら?と目を瞠ってしまいます。
ずっしりしたチョコレートの焼き菓子や、スパイスたっぷりの焼き菓子にも、俄然食指が動きます。

空腹は最高のスパイスとは言いますけれど、冷気はホットドリンクを美味しくしてくれるのですね。
欲を言えば、12月の方がより美味しく感じそうです。
11月はなんだか、まだ本格的な冬というには早い気がして、冷気がちょっぴり足りないような…。

それが12月の雪の降る日などは、年末らしいしみじみとした心持ちも加わって、一層美味しくいただけそうです。
体も温まりますし、心も温めてくれるような気がします。
そう思えば、幾分かの寂寞も、ホットドリンクの良いスパイスになるかもしれません。

という訳で、うんと寒い日かつ、少々感傷的な気分の時にいただくホットドリンクが格別美味しそうだという結論に至りましたが、いかがでしょうか。

書いている側からホットココアが飲みたくなってきました。
皆さまも、今年の冬は素敵なホットドリンクライフをお楽しみくださいませ。

11月13日(木) 真反対が気になる季節

空気がひんやりとしていて、乾燥を肌で感じる季節になりましたね。
こうなると思わずにはいられないのが、夏の暑さと湿気。
夏はあれほど冬が待ち遠しかったのに、いざ冬めいてくると、不満がぽつぽつ出てきます。

夏の暑さはどうしようもないけれど、冬は着込めば暖かいのだから早く冬が来てほしい、などと考えていたことが信じられません。
着込めば肩が凝りますし、着込んだからといって寒さが立ち消えすっかり暖まるかといえば、そうではありません。
着込んでも地肌がさらされているところ、たとえば耳とか頬とかから、寒さが骨まで沁み入るようです。
たっぷり保湿したはずなのに、いつの間にかぴりぴり乾燥を訴えてくる肌も、冬に不快なことの一つだったなぁと思い出してきました。

そう思うと、これから夏に入るぞ、という梅雨から梅雨明けの時期は、紫陽花も綺麗ですし、空気はしっとりしていて意外と過ごしやすかったかもしれないな?という気がしてきます。
雨の日に漂う梔子の香りも大好きです。
実際には、蒸し暑さに辟易とし始めていたのでしょうけれど…。

なんにせよ、季節は真反対が気になるものなのかもしれませんね。
真冬の寒さは夏の海への憧れを募らせますし、真夏の暑さは冬の朝の清冽な空気を恋しがらせます。
季節の醍醐味は、案外真反対の季節にじわじわ実感するものなのかもしれませんね。

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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