季節の和菓子帖とは?
年中行事と、結びつきのある和菓子を毎月ご紹介します。
あの頃食べたなと懐かしく思う気持ち、どんな味がするんだろうとワクワクする気持ち。
暮らしの中の行事を楽しみながら、その季節でしか食べられない和菓子を味わってみませんか?
年中行事 「夏の土用(なつのどよう)」
土用とは雑節のひとつ。立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことで、1年に4回おとずれます。この期間は草むしりや井戸を掘るなど、土いじりをしてはいけない期間でした。
今年の夏の土用は、7月19日〜8月6日です。
はじめの日を「土用入り」、最後の日を「土用明け」と呼びます。
この期間中におとずれる丑の日のことを「土用の丑の日」といい、昔から暑い夏を乗りきるため、栄養のある鰻を食べるならわしがあります。今年は丑の日が2回あり、7月21日が「一の丑」、8月2日が「二の丑」にあたります。
他にも、お灸をすえる「土用灸」や薬草のお湯に浸かる「丑湯」、本や衣類などに風を通す「土用干し」、塩漬けにした梅を干す「梅の土用干し」など、夏を快適に過ごすためのならわしがあります。
- 土用入り…7月19日
- 一の丑…7月21日
- 二の丑…8月2日
- 土用明け…8月6日
和菓子 「あんころ餅 / 土用餅(どようもち)/「う」のつく御菓子」
土用に味わいたい和菓子といえば、餅を餡で包んだあんころ餅。土用餅とも呼ばれています。
昔、宮中で汁に餅を入れて食べていたものが原型で、江戸時代頃にあんころ餅の形状になったのだそうです。小豆の赤には魔除け、餅には力持ちの意味があることから、土用入りの日に、夏の無病息災を願っていただきます。
また、土用に「う」の付くものを食べると夏負けをしないといわれているので、「う」のつく和菓子を食べるのはいかがでしょうか。季節の和菓子を愉しみ、暑い夏を乗り越えましょう。
おかし処 うばがもちや
【 店舗情報 】
滋賀県草津市大路2-13-19(本店)
【 お店の紹介 】
永禄12年(1569年)創業。400年以上の伝統がある老舗。草津市内に本店のほか支店や販売店を複数構えています。滋賀県の代表銘菓でもある「うばがもち」のほか、草津市の市花である青花を使った「あおばな菓子」など、宿場町草津に因んだ菓子を多数つくっています。
【 うばがもちや・うばがもち 】
昔、東海道五十三次と中仙道の宿場町である草津にて、乳母があんころ餅をつくり、旅人に売ったことが、「うばがもち」の由来です。広重や北斎が浮世絵に描き、家康や芭蕉も味わったという、歴史のある和菓子です。無農薬の餅米でこしらえた柔らかな餅を、なめらかなこし餡で包み、上部には練切り(白餡と山芋つくった餡)が乗せられています。小さなお餅なので、1ケース(6粒)を1人占めしても大丈夫です。夏には、かき氷やアイスクリームなどに添えていただくのもよいですよ。
※消費期限が短い商品なので、お電話にて確実に受け取れる日をお知らせの上、ご注文ください。
2.「梅(うめ)」をつかった和菓子
越中和菓子処 引網香月堂(ひきあみこうげつどう)
【 店舗情報 】
富山県富山市古沢111-3(古沢本店)
【 お店の紹介 】
大正8年(1919年)創業。2019年に創業100年を迎えた富山の名店。富山市古沢に本店、射水市に小杉店、高岡市に伏木店を構えています。全国の和菓子職人のなかから、毎年十数名だけが認定される「優秀和菓子職」でもあるご主人が、厳選した素材を使い、匠の技と豊かな感性を用いてつくる和菓子は、何を味わっても絶品。心に響く美味しさです。ご主人の想いが詰まった古沢本店にも、時期を見て、ぜひ足を運んでほしいです。
【 引網香月堂・万葉の梅園 】
「う」のつく和菓子の1つめは、夏バテ予防にもよい、梅を使った和菓子です。引網香月堂の「万葉の梅園」は、
蜜で柔らかく煮た紀州の古城梅を、透き通ったぷるぷるの求肥と白あんで包んだ和菓子。梅の酸味と白餡の上品な甘さがよく合い、梅の香りの風が走り抜けていくような、爽やかな味わいです。夏には少し冷やしてから味わうのもおすすめです。(中に種が入っているので注意して食べてくださいね)
3.「浮島(うきしま)」の和菓子
御菓子処 松華堂(しょうかどう)
【 店舗情報 】
愛知県半田市御幸町103
【 お店の紹介 】
江戸時代後期に開業後、明治30年代頃に半田に移転して屋号を松華堂としました。機会があれば食べてほしいのが、毎週入れ替わる季節の上生菓子です。良い素材を使い、繊細な色彩と意匠で季節を表現した上生菓子は、和菓子は五感で味わうものだということを再認識させてくれます。なお、夏には「夏木立」という涼やかな葛製の和菓子もおすすめです。
【 松華堂・むさしの(浮島) 】
「う」のつく和菓子の2つめは、浮島の和菓子です。浮島とは、主に米粉と卵の生地に餡を混ぜてつくる蒸し菓子で、膨らんだ様子が浮島に見えることから名付けられました。松華堂の「むさしの」は、3層の浮島です。ふわふわとしっとりが融合した軽い食感で、口溶けがよく、食欲のない日にも食べやすいです。なお、時期ごとに浮島の色が変わるのも愉しみの1つです。
餅文總本店(もちぶんそうほんてん)
【 店舗情報 】
名古屋市南区豊2-36-24(本店)
【 お店の紹介 】
万治2年(1659年)創業。名古屋ういろの元祖の老舗です。一番のおすすめは、かつて藩主に献上された「献上外良」で、厳選素材を使用し、伝統の製法で手作りした美味しさは格別です。また、ひとくちサイズや、季節や月変わりの商品を開発するなど、新たな挑戦も続けられていますので、定期的にチェックしてみてください。
【 餅文總本店・ラムネういろ(ういろ) 】
「う」のつく和菓子の3つめは、ういろの和菓子です。半透明のブルーが涼し気な「ラムネういろ」は、餅文總本店の夏の新商品です。1~2時間冷やし、ラムネパウダーをふりかけていただきます。もちっとした食感で、のどごしが良く、シュワッとした後味。初めて味わうときにも、何だかなつかしい気持ちになれます。
梅田なお実
和菓子ライフナビゲーター・デザイナー
東京都出身。好きな季節は初夏。「毎日が和菓子日和」主宰。
全国の和菓子屋さんを訪ね、繋がりをつくりながら、味わった和菓子のイラストや記事を描き、和菓子の魅力を広める為のイベント等、様々な活動を行っています。
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夏らしい暦生活オリジナル和菓子を三点と、祇園祭にちなんだ鉾餅(ほこもち)という和菓子のセットに、和菓子を載せる小さなお盆と、和菓子カードをおつけします。
和菓子は季節を反映した、日本ならではの美しくおいしい文化。
一人でまったりとお茶タイムにするもよし、二人で仲良くシェアするのもよし。ぜひ、美味しい和菓子と楽しいひとときをお過ごしください。