処暑 8月22日~9月6日 七月中〈陽気とどまりて、初めて退きやまんとすればなり『暦便覧』〉
お懐紙を活用する
処暑です。残暑もおさまって初秋の空気が広がるころ。涼風が吹いて・・・、という節気ですが、果たして酷暑が続いた今年、処暑に涼しげな風を感じることができるでしょうか。少し心配ではあります。とにかく長く続いた暑さで体も疲れ気味。なるべく涼しくして、残暑を乗り切りたいものです。
今回は白いお懐紙の話を。本来は、二つ折りにして着物の胸元に差し込んでおく、小型の和紙です。一般的にお茶席で使うお懐紙の寸法は、縦17.5、横14.5センチ。二つ折りにしてお菓子をのせたり、お茶碗の縁を拭いたりと、お茶の席には必携の品。
ただ、お懐紙をお茶席だけで使っているのはもったいない。しっかりした和紙なので、ちょっとなにかを包んだりするのにも便利です。三つ折りにして上下をたためば、小さな即席金封もできます。
食事のときには手元に一枚出しておけば、必要に応じて指先や口を拭うのにも役立ちます。
そんなわけで、ふだんから外出の時は、お懐紙を携行しています。お懐紙入れにだいたい一帖分入れておけば安心。ポケットティッシュを鞄に入れておくのと同じ感覚です。お出かけの鞄の中には、ポケットティッシュとお懐紙が仲良く並んで入っています。
お懐紙の魅力は、和紙のよさもありますが、さらにそこに施された季節ごとの色柄です。季節が巡ると、その季節らしい模様のお懐紙が何種類も出回るので、追いかけるのが大変なほど。季節らしい色で刷られたものや、透かし模様、エンボス模様など色々です。
秋には紅葉や秋草など、風情のある模様が目白押し。いいな、と思った柄を見つけるとつい手に入れてしまうので、長年のコレクションでお懐紙は箱いっぱいに。一生かかっても使えなさそうな量です。それでも、これは自分にとって季節を味わう重要事項。これからも季節のお懐紙コレクションは続きそうです。
もうしばらくの辛抱で、厳しい暑さも収まっていくことでしょう。そのころには、外出にも秋色の服を選びたいものです。もちろん、鞄の中には秋柄のお懐紙も忍ばせて。
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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