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花鳥でめぐる二十四節気/大寒だいかん

二十四節気と七十二候 2026.01.20

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◎大寒 1月20日~2月3日 「ニワトリとセツブンソウ」

いよいよ大寒、二十四節気最後の15日間です。名前のように、一年のうちで寒さを極める季節。寒中の後半、あともう少しの辛抱で立春というときです。

何年か前、大寒のころに北関東の低山に出かけたときのことです。葉を落とした雑木林の澄んだ空気には、あわあわとした日の光が注いでいました。寒さの中でも小鳥の声が聞こえるのがうれしい限り。その可愛らしい声を聞きながら林のなかを進んでいくと、足元でザクザクと音を立てるのは霜柱。さらに行くと、小さくひらけたところに出ました。そこで見つけたのは、セツブンソウの群落です。

セツブンソウは、キンポウゲ科の多年草。地面から茎をスイと伸ばして、てっぺんにひとつだけ花を咲かせます。その白い花の可憐で愛らしいこと。
「寒いのによく咲いたねえ」
と思わず声をかけたくなりました。名前の由来もそのとおり、寒さをしのいで芽を出し、節分のころに花を咲かせることからついた名です。

大寒の節のしまいの七十二候は、「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」。ニワトリが春の訪れを感じて、卵を産み始める時季という意味です。ニワトリは犬と共に、人間との付き合いが最も古い動物といわれています。そんな親しいニワトリが、卵を産んで春を知らせてくれるとは、古の人にとっては感無量だったことでしょう。

幼少のころ、お祭りの出店でだったか、ヒヨコを買ってもらって飼ったことがあります。こうして売っているヒヨコは卵を産まない雄鶏ときまっているらしい。すくすく育ったヒヨコはもはや立派な雄鶏に成長。手に負えなくなった母は、農業を営む隣家の奥さんに相談して、引き取ってもらったそう。

お隣の広い庭では何羽ものニワトリがいつもフリーダムに過ごしていたので、我が家からもらわれていったヒヨコならぬ雄鶏も、きっと居心地よく暮らしたことでしょう。そのあたりのことはさっぱり覚えていない子供だったのですが。

大寒の最後の日は節分です。家の内外を清めて豆撒きをして、よき立春を迎えることにいたしましょう。

イラスト提供:平野恵理子

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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