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血を補う食べ物

旬のもの 2025.06.25

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血を補うということ ——薬膳でめぐる体と心の話

今日は「血を補う食べ物」について、薬膳の視点からお話しします。難しい話は抜きにして、体の中で静かに起こっている“血の不足”と、それをどう食でケアできるのかを、日々の食卓をテーマに書いてみますね。

血虚という状態

中医学には「血虚(けっきょ)」という概念があります。これは、体の中の血が足りていない、あるいは血が薄くて働きがうまくいっていない状態のことを指しています。

「血」といっても、ただの“ヘモグロビン値”だけじゃありません。体をあたためたり、肌や髪に栄養を届けたり、脳や心の活動を支えたり。中医学では、血は全身の滋養液であり、心と体の潤滑油のような存在なんです。

血虚のサイン、当てはまりませんか?

• 顔色が青白く、つやがない
• 髪がパサつく、抜け毛が増える
• 爪が割れやすい、二枚爪になる
• めまい・立ちくらみがある
• 月経量が少ない、周期が乱れる
• 不眠、夢が多い、不安が強く、心配事が頭をぐるぐる回る

こうした症状が2つ以上当てはまるなら、体は「血が足りていないよー!」というサインを出しているかもしれません。

補血の大切さ

血は、身体のすみずみに酸素と栄養を届ける役割を持っています。でもそれだけではありません。中医学では、血は「心」を養うとも言われています。つまり、心が落ち着くためには、血が十分にあることが条件ということなんです。

たとえば、夜になると不安が強くなる、不眠になる。日中は元気でも、ふとしたときに悲しくなったり涙が出たりする。これは「心の血の不足」のサインかもしれません。

また、女性にとって血は月経をつくる土台でもあり、妊娠や出産にも深く関わります。だからこそ、血を補うことは、心身の安定と女性の健康に直結しているのです。

「貧血」との違い

血虚の話をすると、「血虚って、貧血のこと?」と良く聞かれます。答えは“似て非なるもの”です。

西洋医学での「貧血」は、主にヘモグロビンの数値が基準値を下回る状態のことを指します。一方、中医学の「血虚」は、数値に表れなくても、体の働きとして血の力が弱まっている状態を指します。

つまり、血液検査では異常がないのに、「体がだるい」「眠れない」「心が不安定」などの症状がある場合は、中医学的には血虚と見なして対策をしていきます。

血を補う食べ物

それでは、薬膳で血を補うには、どんなものを食べればいいのでしょう? 代表的なものは、、、

• 黒いもの:黒ごま、黒豆、
• 赤いもの:レバー、なつめ、まぐろ
• 野菜:にんじん、きゃべつ、ほうれん草
• 魚介類:いか、うなぎ、牡蠣

です。

これらはどれも、体を内側から潤し、血の材料になってくれる食材
です。とくに「なつめ」は、補血と健脾(=胃腸の働きを助ける)の両方を兼ね備えた優秀食材。日々のおやつに、ぜひ取り入れてみて下さい。また、これら以外にも血を補う補血の食材はあるので「補血 食材」などで調べて見て下さい。

簡単食養レシピ

にんじんとレバーのふんわり炒め

材料(2人分)
• 鶏レバー:100g(牛・豚でもOK)
• にんじん:1/2本
• 卵:1個
• ごま油:大さじ1
• 醤油:小さじ1
• みりん:小さじ1
• 生姜(チューブでも可):少々

作り方

1. レバーは薄切りにして軽く水洗いして臭みを抜く(牛乳につけてもOK)。
2. にんじんを細切りにし、卵は溶いておく。
3. フライパンにごま油を熱し、生姜を軽く炒めて香りを出す。
4. レバー、にんじんを順に入れて炒め、卵を回し入れる。
5. 醤油・みりんで味付けして完成。

ポイント

レバーは言わずと知れた“鉄の王様”。薬膳でも同様に血を補う食材とされています。にんじんと卵でさらに補血効果をアップさせましょう。レバーが苦手な人でも卵でふんわり仕上げれば食べやすくなります。

おわりに

血を補うことは、元気をつくること。中医学では、「血足らずは気足らず」とも言われ、血が足りないと、気(エネルギー)も回らないと言われています。

つまり、「元気が出ない」の背景には、血虚が潜んでいるかもしれません。

特別な食材を揃える必要はありません。台所にあるもので、まずは週に一回「補血の日」をつくってみてくださいね。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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