今日のお話は「蛸」です。
今は、お店に並ぶ蛸の多くは、すでに茹でられた蛸です。
コリコリ、プリプリと引き締まった食感の茹で蛸は、蛸と胡瓜の酢の物やお造り、サラダなどで楽しめます。
私は、その茹で蛸をさらに、じゃがいもと煮ることもあります。弱火でコトコト20分ほど。引き締まった食感がやわらぎ、蛸の旨みが、じゃがいもに移り、深みのあるスープになります。
蛸は、味がのってくる夏に旬を迎えます。
夏至から数えて11日目にあたる半夏生の日、関西では蛸を食べる習慣があります。ちょうど田植えが終わった頃、蛸の足のように、稲の根がしっかりと張るようにとの願いが込められているそうです。
写真提供:川口屋薫
蛸といえば印象的なのが、イタリアで覚えた蛸とじゃがいもの料理。本来は、じゃがいもと生の蛸を別々に茹でて、一口サイズに切り分け、たっぷり絞ったレモンとオリーブオイル、塩胡椒で和える酸味が効いた爽やかな一皿です。
その一皿を、スープ仕立てにアレンジして、日本の台所で、身近に手に入る茹で蛸で作ります。
半夏生に蛸を食べる習慣は、昔から受け継がれてきたものです。けれど暮らしや食材の買い方は、少しずつ変わってきました。
魚屋の店先からスーパーの鮮魚売り場に変わっても、季節を食卓で楽しむことは変わらないような気がします。
大阪で親しんだ半夏生の蛸と、イタリアで覚えた一皿。2つの記憶をひとつの鍋に重ねながら、今年も夏を迎えます。
コトコトと静かに煮える鍋を眺めていると、季節の記憶もまた、ゆっくりと日々の食卓の中へしみ込んでいくのかもしれません。
よかったら、ぜひ試してみてください。
蛸とじゃがいものコンソメ煮
材料(作りやすい量)
•茹で蛸 足1本(約100g)
•じゃがいも 2〜3個
•コンソメ類粒 小さじ2
•水 3カップ
•オリーブオイル 少量
•イタリアンパセリ 少量
•レモン お好みで
作り方
①じゃがいもを2〜4等分に切ります。
②鍋に、水とコンソメ、じゃがいも、蛸を入れて、加熱します。
③沸騰したら、火を弱めて、じゃがいもに火が通るまで煮ます。
④蛸とじゃがいもを一口サイズに切って、オリーブオイルとイタリアンパセリをかけます。
☆ポイント
お好みで、香り付けに白ワインを少し入れて煮ても良いです。
ニンニク、玉ねぎ、キャベツなど、家にあるものや好きな野菜を加えても良いです。
蛸もじゃがいもも大きいまま茹でることで、蛸はふっくらと、じゃがいもは食感よく仕上がります。
また、旨みが逃げにくくなり、スープにはほんのりとしたコクが加わります。
蛸を切るときは、大変熱くなっていますので、蛸をフォークに刺して切るか、少し冷ましてから切ってください。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
