今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0点
お支払金額合計:
0円(税込)

あらめ

旬のもの 2026.09.05

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

今日のお話は「あらめ」です。

あらめは、主に三重県の鳥羽・志摩地域や、島根県の隠岐諸島で獲れる海藻です。
昆布やひじきに比べると、知名度は高くありませんが、古くから食卓で親しまれてきました。

写真提供:川口屋薫

国内では、三重県を中心に夏に収穫され、伊勢神宮に献上されてきた海産物としても知られています。

名前の由来には諸説がありますが、表面が荒いことにちなみ、「荒布(あらめ)」と呼ばれるようになったとされています。

私があらめを知ったのは、京都の暮らしを大切に綴った随筆家・大村しげさんの本がきっかけでした。その本には季節のおばんざいが数多く紹介されていました。

本を開くと、夏のページに「あらめ」がありました。
同じ本では、「追い出しあらめ」と呼ばれる、「あらめ」にまつわる習わしも紹介されていました。
「追い出しあらめ」とは、京都の一部の地域や家庭で受け継がれている送り盆の習わしです。
八月十六日の朝に、お盆にお迎えしたお精霊さんへ、あらめと油揚げを炊いたものを、最後の御膳としてお供えします。そして、あらめのゆで汁を門口にまいて、お精霊さんをお送りします。

お盆の終わりに静かに区切りをつけていたのですね。
普段はかつおやいりこ出汁を、お精霊さんへのお供えには昆布出汁を使います。同じ料理でも、その日はお精霊さんを思い、出汁を変える。その心遣いが印象に残りました。

あらめとお揚げといりこの煮物 写真提供:川口屋薫

他にも、京都には、あらめをいただく「八のつく日」という習わしがあります。
あらめを「新芽」に当て、八の「末広がり」にあやかって、家の発展を願ったと伝えられています。

十日に一度、海藻をいただくことは体にもよく、あらめのゆで汁を流しに流すことで、隅々まで清潔になります。
昔の人は、暮らしの知恵を上手に活用しながら、食卓へ取り入れてきました。

大村しげさんは、「八のつく日を忘れるなら、毎週月曜日でもええやないの」と綴られています。
決して「こうしなさい」というのではなく、今の暮らしに合わせて、無理なく続けられる形でいい。

誰かを思い、季節や行事に合わせて、同じ料理でも少し姿を変える。その小さな心遣いを、これからも大切にしたいと思います。
そして、頑張り過ぎず、今の暮らしに合わせて続けていけたらと思います。

あらめとお揚げの煮物

写真提供:川口屋薫

材料(作りやすい量)
•刻みあらめ(乾燥)10g
•うす揚げ 1/3枚
•昆布だし 100cc
•砂糖 小さじ1〜2
•醤油 小さじ1〜2
•鰹節 お好みで

作り方
①あらめをやわらかくなるまで水で戻します。
②あらめをゆでます。
③小鍋に昆布だし、あらめ、砂糖と醤油を入れて、煮えたら刻んだうす揚げを加えて軽く煮ます。

☆ポイント
砂糖と醤油は、小さじ1ならやさしい味わいになります。小さじ2ならおかずとしてもしっかりとした味に仕上がります。
お好みで加減してください。
鰹節を加えるとコクのある味わいに仕上がります。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

川口屋薫

料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁

記事一覧