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手づくり二十四節気「清明(せいめい)」

二十四節気と七十二候 2021.04.04

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小さなシダの苗を鉢に植え込む

4月の始まりは新年度の始まりでもあり、何かと変化があって落ち着きませんね。
ようやくひと息つくころは、そう、清明です。

清明とは、「清浄明潔」の略。春の清々しい生命力に溢れたこの時季の様子を表しています。草木が芽吹き、花が咲いて、いよいよ春爛漫。これからは万物がぐんぐんと伸び栄えるとき。心も体も「う~ん」とひとつ大きく伸びをして、来たる豊かなシーズンに腕まくりをしたくなる思いです。

気づけば、あたりは春の花の真っ盛りではないですか。スミレ、スイセン、チューリップにビオラ。木の花も、レンギョウにカイドウ、ヤマブキにハナミズキが咲き誇っています。遠く見える山も芽吹きを迎えている様子。柔らかな色に煙って見えます。輝く新緑にはまだ少し早い、この芽吹きの美しさは今だけの宝もの。じっくり味わいたいものです。

万物に晴朗の気が溢れるこのときに、身近にも植物を置いて育ててみるのはいかがでしょう。お花屋さんの店先には、小さな花苗や観葉植物の苗が売られています。特に今は品揃えが豊富な時。ビニールポットに入った苗は値段も低めで買いやすいこともあり、まさにこのチャンスを逃す手はありません。

花苗は一年草が多いので、今回は長持ちする観葉植物のシダ類を植えてみます。使うのはクラシカルな鉢。和風の鉢は雰囲気がたっぷりで、小さくても部屋に置くと存在感があります。 

シダ植物は丈夫なので、たっぷりの水と時々の施肥で十分育ちます。多少日陰でも元気なところが頼もしい。しかもぐんぐん大きくなるので、より愛おしく感じます。買ったままの鉢植えを育てるよりも、自分で鉢に植え替えた苗がより可愛く感じるのは、不思議だけど当然のことなのでしょう。

生き生きと大きく育ったシダのグリーンは、お部屋のアクセントにもなります。いつもそばにあるから、もはや家族同然? 長生きのものは、十年二十年と元気で生き続けます。こちらが先にへこたれてしまいそうなくらいですね。長く世話をしているとさらに愛情も増してきて、水やりもいそいそとするようになっています。

ぐるっと一年たって次の清明のころには、小さかった苗が大きく繁茂して、たっぷりとした緑の葉が植木鉢から溢れていることでしょう。どうぞ今から楽しみに。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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