こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
暑い夏がやってきました。夏休みの旅行を計画している方も多いのではないでしょうか。観光地やグルメはもちろんですが、その土地ならではのお菓子に目を向けてみるのも、旅行の楽しみのひとつ。お土産として親しまれている定番のお菓子も、その歴史やルーツを知ると、また違ったおもしろさが見えてきます。
今回は沖縄を代表する「ちんすこう」のお話です。最近では紅芋タルトをはじめ、様々なおしゃれなお菓子が登場していますが、沖縄のお菓子といえばやっぱり、ちんすこう。沖縄の定番のお土産で、色々な味がある独特な食感のクッキー。不思議な名前だな、と思いつつ、ちんすこうに対して深く考えたことはありませんでした。
ちんすこうへの想いが変わったのが去年沖縄に行った時のこと。九州に住んでいるものの、今までその魅力を知らなかった沖縄。和菓子ときちんと向き合うようになってから初めての沖縄でした。
事前に調べると、ちんすこうにはなにやら古い歴史があるらしい。そんな情報を頼りにいざ沖縄へ。元祖、といわれるお店に行くと、なんと人気すぎてちんすこうが買えませんでした。ち、ちんすこうってこんなに人気なの!?!?想像以上の人気に驚いてしまいました。
残念だなぁ、と思っていると、お店のおばあちゃんが「せっかくきてくれたから」と奥に何かを取りに行ってくれ、「形が悪いけど、これよかったら食べてね」と袋に入ったちんすこうを渡してくれました。
ホテルに帰って、何気なくパクッと口にすると、香ばしい香り、ザクっとした食感。今まで食べた、ちんすこうとはまるで違う衝撃のおいしさ。ちんすこうの印象がすっかり変わってしまいました。
ちんすこうとは、漢字では「金楚糕」と書き、中国菓子の一つである蒸しカステラのようなものを焼き固めたものです。まさかちんすこうが、カステラのようなケーキ由来だったなんて。
また、ちんすこうの兄弟のようなお菓子で「花ぼうる」という商品があります。こちらは南蛮菓子の「ぼうろ」に由来しているそう。切り込みを入れて冠のような形になったお菓子で、元々は江戸でも人気のお菓子だったようですが、今では沖縄でのみ作られています。
これらのお菓子は「琉球菓子」と呼ばれ、琉球王国時代に王家において接待や祭事などに用いられていたのだそう。現在残っているものは随分と少なくなってしまいましたが、当時は百種類以上あったそうです。海外の影響を受けた、異国感漂う沖縄のお菓子。驚きの大発見がまだまだ隠れていることでしょう。
旅行先はもちろん、普段訪れる場所にも、意外と知らない歴史や文化がたくさん隠れています。子どもの頃自由研究にわくわくした気持ちを思い出しながら、今年の夏は、そんな小さな発見を探してみてはいかがでしょうか。
写真提供:せせなおこ

