今日のお話は「冬瓜」です。
名前に「冬」とついていますが、旬は「夏」です。
収穫したものは、皮が硬く、水分を保つことができます。冬まで保存できたことから、「冬瓜」と呼ばれるようになったとされています。
奈良時代の文献にもその名が見られるほど、冬瓜は古くから親しまれてきた野菜です。
昔は、今のように一年中野菜が手に入る時代ではなく、冬まで保存できる冬瓜は、人々の暮らしの中で重宝されたことでしょう。
そんな冬瓜に、昔の人は季節を超える力を感じ、「冬瓜」という名に思いを重ねたのかもしれません。
夏の野菜売り場を歩いていると、太陽の光をたくさん浴びて育った赤や黄色の野菜に目が向きます。そんな中、ひときわ大きな冬瓜は目立つはずなのに、どこか控えめで、静かな夏野菜のように感じます。
大きな冬瓜をカットしたものは、真っ白な果肉と緑の皮のコントラストが綺麗です。
また、片手に乗せられそうなミニ冬瓜も見かけます。
生の冬瓜を薄切りにして、塩もみします。水気を絞って、叩いた梅肉をのせると、さっぱりとした箸休めになります。
市場で働いていた頃に、丸ごとの冬瓜を抱えた時のずっしりとした重さが懐かしく感じます。3個入りのものは10キロを超えるので、フォークリフトで運んでもらっていました。
市場では力仕事を思い出させる冬瓜ですが、料理となると、その表情は驚くほど優しくなります。
京都に住む友人のご自宅に招かれた七夕の日。
西陣の老舗の仕出し料理には、鱧の上に透き通るような瓜が添えられていました。派手さはありませんが、その一椀は涼を映したように美しく、今も夏になると思い出します。
そんな冬瓜を、普段の食卓では気軽に楽しんでいます。
下ごしらえは、皮を剥き、種とワタを取り除いて、食べやすい大きさに切ります。私は、青くささを取るために5分ほど下茹でしてから煮ていますが、地域やご家庭によって作り方はさまざまです。
汁物や炒め物の具材にすると、トロリとした食感を味わえます。
淡白な味わいの冬瓜は、出汁や具材のうま味を優しく受け止めてくれます。
干しエビや貝柱、海老、鶏肉など、合わせる具材によって、違った表情を見せてくれるのも魅力です。
スーパーなどで手に入る4等分ほどにカットされた冬瓜で、暑い日に二度楽しめる料理をご紹介します。
カットされた冬瓜も、なかなかの重さです。少し気合いが必要ですが、毎日丁寧に料理をする余裕が無い日もあります。
特に、暑い日には、料理にも少し涼しい工夫を取り入れてはいかがでしょう。
市販のうどんつゆを使って、冬瓜をコトコト煮て、別の鍋で鶏そぼろを作ります。鶏そぼろを半月のように添え、見た目も涼やかな一皿です。
手間をかけられた料理も、少し肩の力を抜いた料理も、冬瓜は変わらず静かに夏を味わわせてくれる野菜なのかもしれません。
鶏そぼろと冬瓜の煮物
材料(作りやすい量)
•冬瓜 1/4個
•市販のうどんつゆ 300ml
鶏そぼろ
•鶏ひき肉 200g
•おろししょうが 小さじ1/2
A
•酒 大さじ1/2
•しょうゆ 大さじ1
•みりん 大さじ1
•砂糖 小さじ1
作り方
冬瓜の煮物
①冬瓜の皮をピーラーで薄く剥きます。包丁で種とワタを取り除きます。火を通りやすくするため、皮側の部分を包丁の先を使って切り込みを入れます。食べやすい大きさに切ります。
②沸騰したお湯に冬瓜を入れて、5分茹でてからザルにあげます。
③鍋に②とうどんつゆを入れて煮ます。
沸騰したら、弱火にして、やわらかくなるまで煮ます。
鶏そぼろ
①小鍋に鶏ひき肉、すりおろし生姜、Aの調味料を全て入れて、火にかける前に菜箸でよく混ぜます。
②弱めの中火にかけ、菜箸でほぐしながら火を通します。
③鶏ひき肉が細かくほぐれたら、水分を飛ばしながら、汁気がなくなるまで炒りつけます。
☆ポイント
市販のうどんつゆは、表示に合わせて希釈してください。
種とワタ取りは、メロンのように取り除くように包丁を入れると取りやすいです。
種を取り除いたワタは、汁物や炒め物の具材にすると、トロリとした食感を味わえます。
生の冬瓜を薄切りにして、塩もみします。水気を絞って、叩いた梅肉をのせると、さっぱりとした箸休めになります。
鶏そぼろと冬瓜の冷やしうどん
材料(一人前)
•うどん 1玉
•鶏そぼろと冬瓜の煮物 お好みの量
•カニカマ 1本
•フライドオニオン 少々
•刻みネギ 少々
•冬瓜の煮汁で煮た薄揚げ お好みで
作り方
①うどんを茹でて、冷水にさらした後、ザルにあげます。
②冬瓜を薄切りにします。
☆ポイント
鶏そぼろと冬瓜の煮物は冷蔵庫で約2日間保存できます。
鶏そぼろと冬瓜を一緒に保存容器に入れると、鶏の旨みが冬瓜にしみます。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
