こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
暦の上では秋、和菓子屋さんに行くと、少しずつ秋の気配を感じられるようになる頃です。まだまだ暑い日が続いていますが、季節はちゃんと巡っていることを実感できます。
秋の食べ物といえば芋、栗、南京。お饅頭にどら焼き、栗きんとんと素材の味を楽しめる和菓子が勢揃いします。今日はさつまいもを使った名古屋の郷土菓子、鬼まんじゅうを紹介したいと思います。
鬼まんじゅうとは、角切りにしたさつまいもと小麦粉の生地を混ぜ合わせて蒸したおまんじゅう。戦後の食糧難の際、比較的手に入りやすかった小麦粉とさつまいもで作られたことに由来します。
実は九州にも鬼まんじゅうに似たさつまいもを使った蒸しパンのようなお菓子があり、石垣まんじゅうと呼ばれます。こちらはいわゆる蒸しパンで、ふかふかとした生地が特徴。この蒸しパンタイプに馴染みのある私は初めて鬼まんじゅうを食べた時、材料は同じなのにこのむちむち感はなんだろう!?とその食感の違いにとても驚きました。
名古屋の友達に聞くと、学校の調理実習で作ったことがあるよ、とのこと。鬼まんじゅうをどうやって作るのか気になった私は、お菓子屋さんにお願いして、鬼まんじゅうを作る過程を見学させてもらいました。
生地にさつまいもをのせる石垣まんじゅうに対し、鬼まんじゅうはさつまいもが主役。さつまいもを最初から生地と混ぜ合わせることでこのもちもち食感が生まれるのだそうです。
外の温度は39度。蒸し器を使う工場の温度は、何度なのか知ると倒れてしまいそうな暑さでした。それでも一つ一つ、鬼まんじゅうの生地を掬いあげては蒸し器に並べ、火をかけ、おいしいお饅頭を作っている職人さんには、言葉にはならない凄さがありました。
無理せず、休みながらしてくださいね…そういった言葉しかかけることができませんでしたが、こういう職人さんたちのおかげでおいしい和菓子が食べられていることを常々忘れないようにしたいなと今でも心に残っていまです。
お店によって製造方法は異なり、形や食感、皮付きのさつまいもが使われていたり、黒糖が使われていたりと、食べ比べするのも楽しい和菓子、鬼まんじゅう。この強そうな名前は鬼のツノや金棒を連想させることに由来するのだそうです。どうにかこの暑さも退治してもらいたいものです。
写真提供:せせなおこ

