こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。食欲の秋がやってきました。いも、栗、南京、小豆も収穫の時期を迎え、新小豆が出回る季節です。
そんな、和菓子にぴったりな季節、実は全国には和菓子の街と呼ばれる、和菓子文化が根付く地域がいくつかあります。今回はその中でも、あまり知られていない和菓子の街、大阪の堺のお話をしようと思います。
堺は茶の湯で有名な千利休の出身地。千利休にまつわる旅をしようと、京都と合わせて、ゆかりの地巡りをしたことがあります。どんな和菓子に出会えるかな、とそんなに深く考えずに行ったのですが、なんと堺にはとても多くの和菓子屋さんがあり、有名な銘菓もある街でした。
まず一つ目が「けし餅」。そして「肉桂餅」です。大阪・堺は日明貿易、そして南蛮貿易と、貿易都市として栄えました。その際、宣教師の船来品として持ち込まれたのが肉桂、いわゆるシナモンとケシの実です。それらを使って誕生したのが「肉桂餅」そして「けし餅」です。
肉桂餅は肉桂を練り込んだふわふわの生地であんこを包んだ餅菓子。インドからもたらされたケシの実は堺周辺で育てられていたのだそう。正直、シナモンはあまり得意ではないものの、せっかくだし…と食べてみてびっくり。あまりにも柔らかいお餅と香り高いシナモン。和菓子でありながら、異国の香りが漂い、不思議な感じがしました。
そしてケシの実を使って作られたのがけし餅。こしあんを餅生地で包み、けしの実がまぶしてあります。プチプチとした食感が楽しめる楽しいお菓子です。
カステラや金平糖などの南蛮菓子は長崎や九州のイメージが強いですが、実は堺にも南蛮貿易の影響を受けた和菓子があったなんて驚きです。
さらにお餅をあんで包むことから名付けられた「くるみ餅」というお菓子もあります。こちらの歴史は南蛮貿易よりもさらに遡り、明から輸入された農作物を使って作られたのが始まりなんだそう。木の実のくるみを使うのではなく、お餅を餡で包 (くる)んで食べることからくるみ餅という名前がつけられました。
他にも地元の方に愛されているというあんころ餅の大寺餅、ふわふわのお餅であんこを包んだ天神餅など、堺には魅力あふれる和菓子が本当にたくさん存在しています。
今回は堺のお話でしたが、意外なところに和菓子の街や銘菓が隠れているものです。そして、名前や誕生のきっかけを少し考えてみるだけでも、より一層おいしく味わうことができるはずです。いつもとひと味違う、おいしい秋を楽しんでくださいね。
写真提供:せせなおこ

