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夏の養生〜心地よい夏の暮らし〜

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夏の養生の基本

『黄帝内経 素問』の教え

中医学のバイブルである『黄帝内経 素問』には、夏の養生についてこう書かれています。

夏三月、此謂蕃秀。天地氣交、萬物華實。夜臥早起、無厭於日。使志無怒、使華英成秀、使氣得泄、若所愛在外。此夏氣之應、養長之道也。

夏の三ヶ月は「蕃秀(ばんしゅう)」という。つまり、ありとあらゆるものが盛んに育ち、華やかに実る季節。天地の氣が交わり、万物が花を咲かせ、実を結ぶ。草木が思いきり伸びて、エネルギーが外へ外へとあふれ出る。

具体的には、これらのことに気をつけると良いでしょう。

  • 夜は早めに寝て、朝は少し早く起きる
  • 太陽を「嫌だなあ」と思いすぎない
  • 気持ちをイライラさせない
  • 汗を適度にかいて、気をのびのびと発散させる
  • 外の世界に、心を少し向けてみる

植物が光に向かって枝を伸ばすように、人の気もちゃんと外に向けて発散させることが、夏の養生の要なんです。

夏に摂りたい食材

夏は、高い気温と多い湿度が厄介ですね。ジメジメして暑いので、どうしても冷たい飲食に手が伸びがちですが、体温より低い温度の飲食物は、胃腸を冷やし、消化吸収力を低下させるので、夏バテの元になります。胃腸のことを考え、夏バテの予防をするなら、常日頃から冷たいもの、生モノなどは最低限にするのがおすすめです。

体の熱を逃がすにはきゅうりやスイカなど、ウリ科のものがおすすめ。こもった熱を冷ます力と余分な水分を排出する力を持ち合わせているので、都合が良いです。ただし、果物は常温で、それ意外の野菜は火を通して食べるほうが良いですよ。その他、三つ葉、いちじく、バナナ、アサリ、こんにゃく、豆腐、ズッキーニ、ハトムギ茶、クレソン、緑豆、なすなども、こもった熱と、湿気を排出してくれるので、夏にはおすすめです。

夏のお困りごとに

夏の食欲改善策

夏に食欲が落ちるのは、いわゆる夏バテの一つの症状ですね。中医学の観点から見ると、夏は暑さと湿気により様々な不調が出やすく、養生がしにくい季節です。
夏場の食欲低下は、暑さによるエネルギーの損傷、湿気による胃腸の重さと機能低下、それに加えて、冷たい飲食による、胃腸の機能低下が重なることで起きると中医学では考えます。

対策は、第一に冷たい飲食を減らすこと。夏場は、冷えたグラスに注がれた冷たいビール、氷が入った飲み物、アイスクリーム、ゼリー、冷たい麺類など、とにかく「冷たいもの」をとりがちです。これら冷たいものは、温かいことで消化しやすく保たれている胃腸を弱らせ、消化吸収力を低下させます。

そうめんやひやむぎ、冷麺に冷やし中華もたしかに美味しいですよね。そういうときは薬味をたっぷり使いましょう。しそ、生姜、みょうが、ネギ、これらはすべて温性の温める食材ですから、冷たい麺類の負担を少しでも減らしてくれます。

夏の冷え対策

夏はどうしてもエアコンの影響を受ける環境にありますね。ご自身の家はもとより、通勤の電車や車、バスの車内、会社、立ち寄ったコンビニ、スーパー、どこでもキンキンに冷えるほどエアコンが効いています。加えて、暑さのせいで、冷たいものにも手が伸びがち。
続けていると、手足の冷えはもとより、お腹が痛い、食欲がない、下痢や軟便、頭痛、肩こりなどなど、夏の冷えの症状が目立つようになります。

夏の冷えは日々の養生の工夫で対策しましょう。
熱いところから涼しいところへ入るときは、しっかり汗をふきとって入るように心がけてください。そして寒さを感じるときは素肌を晒すのではなく、一枚羽織るようにしましょう。
とくに、手首、足首、首などは素肌を露出しやすい場所です。首元にはスカーフを巻いたり、できるだけ靴下を履くなどして対策を。首と付く場所には、重要なツボがあるので、冷やさないよう日頃から心がけてくださいね。
冷たい飲食は避け、1日1回発汗したり、お風呂に入って冷えを貯めないようにしましょう。

むくみ対策

梅雨が終わる6月後半から7月にかけて、体がどんより重だるくなる──
中医学で「湿邪(しつじゃ)」とは、体に余計な水分をため込む“湿気”のこと。
湿気をコントロールするのが、中医学でいう「脾(ひ)」──消化と水分代謝の要です。ところが湿気が多いと脾は弱り、水分処理が追いつかず、皮下にムクムクと溜まってしまう。それがむくみの正体です。

今からできる“梅雨むくみ撃退・養生法”

【食事編】温め・巡らせ・出す

1.温かいものをよく噛んで
常温のお茶や生姜入りスープをプラス。よく噛むほど脾の負担が軽くなります。

2.利水&健脾食材を活用
・利水(むくみ取り):小豆・はとむぎ・冬瓜・とうもろこしのヒゲ茶
・健脾(脾を元気に):お米・山芋/長芋(加熱して)・かぼちゃ・生姜・ネギ

3.冷&甘&生ものはほどほどに
アイスやケーキ、生野菜は多くても2日に1回、少量で。やりすぎず緩く制限。

【生活編】からだから直接デトックス

1.じんわり汗をかく運動
ウォーキングやストレッチで皮膚からも水分を出す。

2.ぬるめのお風呂にゆったり浸かる
38~40℃の湯船に15分程度。血行促進&水圧で排出力アップ。

3.足首・ふくらはぎを冷やさない
オフィスで靴下やレッグウォーマー、ひざ掛けを利用して巡りを守る。冷やすと血も水も巡りが悪くなります。

緑豆ぜんざいのすすめ

じとっと湿気がまとわりつくこの季節、「なんだかだるい」「やる気が出ない」「食欲も落ち気味…」という方も多いのではないでしょうか。
そんな時こそ、東洋の知恵をおやつに借りてみましょう。

中医学では、緑豆(りょくとう/りょくず)は「甘味」「寒性」をもつ食材として、暑さでこもった“熱”をとり、身体の中をすっきり整えてくれるとされています。

•清熱解毒:ニキビや口内炎、のぼせ、夏バテなどこもった“熱”を減らしてくれます。
•消暑利尿:暑さと湿気で乱れがちな水分代謝をととのえ、むくみや食欲不振を軽減します。

ナツメと白玉の緑豆ぜんざい

〈材料/2〜3人分〉
• 緑豆 100g
• ナツメ(乾燥) 4~5個
• 白玉粉 50g
• 水 800ml程度
• きび砂糖または黒糖 大さじ2~3(お好みで)
• 塩 ひとつまみ

〈作り方〉
1. 緑豆を戻す
 軽く洗って2~3時間ほど水に浸けておきます(そのまま煮てもOK)。
2. 豆を煮る
 鍋に緑豆と水、ナツメを入れて中火で30~40分。やわらかくなるまで煮ます。
3. 味をつける
 砂糖と塩を加えて、さらに5~10分煮ます。
4. 白玉をつくる
 白玉粉に少しずつ水を加えてこね、丸めてゆでます。浮かんできたら冷水に取ります。
5. 仕上げ
 器に緑豆とナツメ、白玉を添えて完成。冷やしても、ほんのり温かくても美味しいです。

緑豆ぜんざいは、そんな「夏バテ気味な体」をいたわるおやつ。
こもった熱を冷ましつつ、やさしく気と水分を補ってくれる、まさに“お腹の漢方”です。


中医学を紐解いてみると、夏の養生の基本から、お困りごとの対策、夏に楽しみたいヒントの知恵と工夫が満載ですね。
ぜひ簡単なことから取り入れてみて、暑い夏を心地よく暮らしましょう。


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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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櫻井大典|ゆるかんぽう

暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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