暮らしに根づく、民俗学と年中行事
私たちの暮らしには、季節ごとに様々な年中行事が根づいています。民俗学的には、古来より日本では年中行事を通して、不思議な「ちから」を補ってきたと考えられています。古くからのならわしについて、関西学院大学社会学部教授・島村恭則先生に紐解いていただきました。
4月 自然のちからを頂く
この時期、女性たちは田植え前に自然の霊力を分けてもらう役割を担い、山登りや山籠りを行いました。主役が女性だったのは、神を祀るのが女性だったから。3月3日がスタート地点で、そこから山にこもっていたこともあれば、その日だけ籠ることもありました。
5月 神を迎える
旧暦4月は、8日に年中行事が行われやすい月です。これは、仏生会(お釈迦様の誕生日)と重なることにも影響を受けていますが、民俗学的には田植え開始(4月15日頃)に向けた「神迎えの山ごもり」の日であったとする説があります。
6月 端午の節供
5月5日といえば、尚武の節供として男の子の日だとされることもありますが、もともとは3月・4月と同様、神を迎える準備を行う、女性の日でした。
「オンナノイエ」、「オンナノヨ」、「オンナノヤネ」などと言って、女性たちが家にこもって神を迎えることもあれば、かつては山に入ることもありました。
7月 祓え
旧暦6月は、マイナスの霊力であるところの穢れを祓う月です。代表的な祭りとしてまず挙げられるのが、祇園祭。現在の祇園祭は華やかな山鉾巡行のイメージが強いですが、もともとは疫病退散を目的とする祭りでした。

島村恭則
民俗学者・関西学院大学社会学部長 教授
東京都杉並区生まれ。兵庫県西宮市在住。好きな季節は、沖縄の「うりずん」。3月下旬から4月下旬にかけての一年でもっとも爽やかな季節のこと。著書に『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門』(創元社)などがある。
