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5月のいろ #にっぽんのいろ

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日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。

苗色(なえいろ)
少し黒みを帯びた明るい黄緑色は、稲の苗の色を表しています。時代によって、色名が微妙に変化しながら現在にまで伝わりました。田んぼにしっかりと根を張り、風にサワサワと揺れる美しい初夏の田園風景が目の前に広がるようです。

勿忘草色(わすれなぐさいろ)
どこからともなく切なさを誘う薄い青色が印象的です。日本では明治時代から使われ始めた色で、勿忘草の花のような色でした。勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」。美しさと強さを秘めた凛とした青には、少し寂しさも漂います。

藤色(ふじいろ)
藤は花が風に散る様子を表す「風散(ふぢ)」に由来します。平安時代に藤色として広まり、薄い青紫色の基本色となりました。明治時代、樋口一葉が著した『たけくらべ』には勝気なヒロインの衣装としても登場しています。

山吹色(やまぶきいろ)
山吹は、春の花が終わる頃に赤みを含んだ鮮やかな黄色の花を咲かせます。万葉の時代から親しまれていた花で、平安時代に色名になりました。『万葉集』『古今和歌集』『源氏物語』など様々な古典にも描かれ人々に愛されてきました。

菖蒲色(あやめいろ)
アヤメ科目の「菖蒲(あやめ)」や「花菖蒲(はなしょうぶ)」の花を思わせるような凛とした紫色で、深緑に映える美しい色合いが多くの人を虜にしました。俳聖、松尾芭蕉もこの柔らかくも若々しい紫に魅了され、俳句に詠んでいます。

若竹色(わかたけいろ)
若竹は、その年に生えてきた竹のことを指します。若竹の幹のような明るい緑色が眩しいですね。暮らしに身近な「竹」の付く色は他に「老竹色(おいたけいろ)」「青竹色(あおたけいろ)」「煤竹色(すすたけいろ)」などがあります。

長春色(ちょうしゅんいろ)
色名は、中国原産の四季咲きの薔薇(ばら)「長春花(ちょうしゅんか)」に由来します。色名として流行し始めたのは明治時代以降。大正時代には、主に女性向けの色として薄紅色の落ち着いた色合いが好まれるようになりました。

卯の花色(うのはないろ)
卯の花は、初夏に小さな白い花を咲かせる空木(うつぎ)の別名です。その花のあまりの白さから、平安時代には「雪かとまごう」と表現されたほどでした。その卯の花のような、ほのかに黄色っぽい色合いが心を落ち着かせてくれますね。

藤紫(ふじむらさき)
うっとりするような艶やかな紫色に思わず心がときめきます。化学染料が登場した明治時代、その染料で染めた鮮やかな紫色に「藤紫」の色名が使われるようになりました。明治文化を代表する色で、美人画の画家が好んで用いました。

杜若色(かきつばたいろ)
菖蒲にそっくりな植物ですが、杜若はやや赤寄りの色合いです。昔は杜若の汁を擦り付けて布を染めていたため「書き付け花」と呼ばれていたそうです。杜若の紫色は文学作品や絵画に描かれるなど、時代を超えて愛されてきました。

青竹色(あおたけいろ)
明るくも濃く青みが強い緑色です。勢いよく成長する竹を表しており、数ある「竹」をモチーフとした色の中でも代表的な色合いです。古くから日本に自生した竹は、生命力あふれる存在として、人々の暮らしに身近なものでした。

水柿(みずがき)
色名の由来は水色と柿色を染め重ねることから。紫を帯びた優しく穏やかな茶色が印象的です。江戸時代の『手鏡模様節用(てかがみもようせつよう)』によると、柿色は灰がかった黄赤の「柿渋色」を指していると考えられるそうです。

苺色(いちごいろ)
少しくすんだ紅色は、ほのかに紫みを帯びているようにも見えます。イチゴは一般的にはオランダイチゴを指しますが、木苺や蛇苺など山野に自生するものも含んだ総称。熟して色づいたイチゴの甘酸っぱさが口の中に広がるようですね。

白練(しろねり)
研ぎ澄まされた混じり気のない白は、不純物を削ぎ落としたような神々しいオーラがあります。色名は、生絹(きぎぬ)を精錬して白くする技法を「白練」と呼んだことに由来します。古代は天皇の袍(ほう)の色とされ、神聖な色でした。

緑青色(ろくしょういろ)
顔料としての歴史は古く、飛鳥時代に中国から渡ってきたとされています。「緑青」は炭酸銅などからできた緑色で、天然のものは孔雀石(くじゃくせき/マラカイト)を砕いたもの。自然界で唯一、緑色を出すことができる希少なものです。

薔薇色(ばらいろ)
目の覚めるような鮮やかな赤が鮮烈な印象です。薔薇は中国から伝わり『古今和歌集』や『枕草子」にも登場しますが、色名として定着したのは明治時代なってから。幸福や希望に満ちた素敵な色に、身も心も満たされるようですね。

若苗色(わかなえいろ)
ほのかにくすみのある淡い黄緑色は「苗色」よりも薄く見えます。『源氏物語』にも登場するなど平安時代から使われた色名で、初夏を表す色とされます。初夏の風に揺れる瑞々しい稲のような輝きが、爽やかな気持ちにしてくれます。

石竹色(せきちくいろ)
心を安らげるような優しい紅色です。石竹は中国原産のナデシコ科の花で、5月ごろに花を咲かせます。日本では「唐撫子(からなでしこ)」の名前で親しまれ、『万葉集』では大伴家持(おおとものやかもち)の歌にも登場しています。

柳煤竹(やなぎすすたけ)
深く暗い黄緑色の落ち着いた雰囲気と渋さが絶妙です。江戸時代の元禄期に生み出された人気の色でした。煤竹色(すすたけいろ)のバリエーションの一つです。鮮やかな紅色を引き立てるアクセントカラーとして、とても重宝されました。

納戸色(なんどいろ)
江戸時代頃に生まれた色名で、大変人気を集めました。藍染の中でも、やや緑がかったくすんだ青色が好まれ、男物の裏地の色として愛用されました。江戸時代末期になると女性の着物の色としても使われ、性別を問わず流行しました。

紅藤色(べにふじいろ)
人気色「藤色」よりも赤みが強い紫色には、特別の美しさがあります。藤色に紅を掛けたようであることから「紅掛藤(べにかけふじ)」、若者の間で人気を集めたことから「若藤(わかふじ)」と呼ばれることもあったそうです。

紺青色(こんじょういろ)
やや紺色よりの紫がかった青色には、深い海のような神秘的な魅力があります。平安時代に中国から輸入した藍銅鉱(らんどうこう/アズライト)から生成された顔料の中でも、特に色が濃く結晶した紫みの強い青色を紺青色と呼びました。

瑠璃色(るりいろ)
仏教七宝の一つ「瑠璃」は、青く輝く石玉で「青金石(せいきんせき)」「ラピスラズリ」とも言われます。中国や日本では、青色系のガラス質を「瑠璃」と呼びました。夜空に輝く星々のようなきらめきに思わず引き込まれそうですね。

楝色(おうちいろ)
色名の楝(おうち)は、初夏に淡い藤色の花を咲かせる「栴檀(せんだん)」の古名です。平安時代には、邪気を払う花と考えられていたそうです。上品で落ち着いた青紫色からは、どこからともなく神秘的な雰囲気が漂ってきます。

縹色(はなだいろ)
深く強い青は、青系の伝統色を代表する色です。時代とともに色名を変えながら伝わりました。『延喜式(えんぎしき)』には、濃さによって四段階の「縹」が付く服色が出てきますが、縹色は藍で染めた広い範囲の色を指しています。

雲井鼠(くもいねず)
限りなく白に近い灰色が落ち着いた印象です。「雲井」とは、とても手の届かないような高貴な場所、つまり宮中のことを指し「雲居」とも記されました。遥か遠い雲の上のような尊い色合いからは、人々の憧れが感じられますね。

花紫(はなむらさき)
青系と赤系の色を丁寧に重ねた渋い紫色です。色名は染色方法に由来し、藍で染めた花色(縹色)の上に紅花を重ねて染め、紫の明度を調節しています。藍で染めていることから、高貴さの中にも落ち着きのある風合いが漂います。

瓶覗(かめのぞき)
極めて薄い藍色には、涼しげな透明感があります。藍染の中でもっとも薄い色とされ、藍汁(あいじる)を蓄えておく「藍瓶(あいがめ)」を少し覗いたような色合い、またはわずかに浸した程度に染めているという意味もあるようです。

浪花鼠(なにわねず)
淡くて渋い灰色は、少し赤みを帯びています。浪花(大阪)で生まれた色で、「大阪の鼠色」という意味があります。商人の街として賑わう大阪のイメージに対して落ち着いた優しいトーンは、繊細で奥深い魅力に気づかせてくれます。

水浅葱(みずあさぎ)
「水」は染料に水を加えて薄める製法を表します。藍瓶に糸や布を何度も浸すことで濃く染める藍染の中で、瓶覗(かめのぞき)の次に淡い色とされています。安価な色として軽んじられた歴史もありますが今では爽やかさが人気です。

藤黄(とうおう)
オトギリソウ科の常緑高木「藤黄」の樹皮を傷つけて得られる樹脂が主成分です。渋くも鮮やかな黄色は、日本の伝統色として古くから大変重宝されました。日本画の絵具や友禅染にも使われるなど、透明感と深みをあわせ持った色です。

いかがでしたか?5月のにっぽんのいろは、初夏の爽やかな風を感じさせてくれる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。

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