日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。
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濃朽葉(こいくちば)
朽ちゆく葉の色みの変化を表した「朽葉四十八色」の一つです。紅葉に近い「赤朽葉」に似た色ながらも、より黄みが強く濃さが際立ちます。紅葉が盛りへ向かう色とも、盛りを過ぎた色とも見えてロマンがありますね。
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銀灰色(ぎんかいしょく)
芥川龍之介をはじめとした文豪たちは、近代文学の中でこの色を盛んに用いてきました。暗く渋い銀色である「銀鼠(ぎんねず)」よりも、明るい灰色に近い銀色のようです。銀色特有の光沢と優しいきらめきが素敵です。
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緋銅色(ひどうしょく)
艶やかな赤い緋色が魅惑的です。近い色みに赤銅色(しゃくどういろ)がありますが、銅色と緋色を掛け合わせることによって、似て非なる色に仕上がりました。銅のきらびやかな橙色が、より華やかに見せています。
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金色(かないろ)
金鍍金(きんめっき)や真鍮(しんちゅう)などの金属の色を指します。「きんいろ」と読む黄金の色とは別の色です。鍍金は金属などの表面を別の金属の膜で覆う高度な技術。日本には仏教とともに伝わったそうです。
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黄鼠(きねず)
渋いようにも愛らしいようにも感じる、灰がかった穏やかな黄色です。黄色に鼠色を乗せることで出来上がった色と考えられます。中国では「黄鼠」と表記される、イタチの毛の色合いともよく似た優しい色みです。
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遠州鼠(えんしゅうねず)
淡い灰色には、寂(さび)だけでなく美しさも宿ります。名前の由来は、茶道や建築、造園を極めた江戸初期の文化人の小堀遠州です。遠州のお気に入りとされる桂離宮の茶室「松琴亭(しょうきんてい)」を彷彿とさせる色合いです。
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涅色(くりいろ)
渋みのある黒は、墨よりも暗く、純粋な黒にはない深みを漂わせています。名前に使われている「涅」は川底などに沈む黒い泥のことを指します。古代は、このような川底の黒い土で染色されていたとも言われています。
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石板色(せきばんいろ)
少し青紫がかった灰色をしています。石板の中でも、天然の粘板岩を薄く加工して作った「スレート」という屋根材の色みを指しています。現在、国内で「スレート」が採れるのは、宮城県石巻市のみとも言われる貴重なものです。
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焦香(こがれこう)
芳しい香りを持つ香木の中でもとりわけ、丁子の花の蕾を乾燥させた「丁子香」は香料として大切にされてきました。その丁子香の色を模しただけではなく、丁子香を煎じた染液で染めた「香色」を焦げるほど濃くした色です。
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紅碧(べにみどり)
紅色と碧色(みどりいろ)を掛け合わせました。紅色と空色を掛け合わせた「紅掛空色(べにかけそらいろ)」に近い色ですが、こちらの方がくすみが強く、まるで海に沈んだ後の太陽が漂わせる気配のようでもありますね。
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支子色(くちなしいろ)
赤みの薫る鮮やかな黄色が美しいです。秋に橙に色づくクチナシの実を煎じて染めています。奈良時代は「黄丹(おうに)」の下染めに使われていました。平安時代に色名として確認され、江戸時代には人気の色になりました。
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鼯鼠色(むささびいろ)
ムササビの名前は平安時代の漢和辞書『和名抄(わみょうしょう)』にも登場します。モモンガと同一視されていましたが、人々の好奇心を掻き立てる動物だったのでしょう。愛らしい赤茶色はこの不思議な珍獣の毛色に由来します。
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惚色(ぼけいろ)
色名に使われている「惚」という語は「ぼけること」を表します。はっきりしない色や剥げた色の総称で、特定の色を指すものではありません。時に曖昧なものを好む日本人が見出した、日本らしい色かもしれませんね。
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鴇色鼠(ときいろねず)
鴇色は、鴇の飾り羽や尾羽に見られる淡い紅色にちなみます。その鴇色に鼠色を掛け合わせた、赤みがかったか柔らかい灰色です。江戸時代までは、野山で身近に見られた鴇にちなんだ色名は六種類あり、その一つです。
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淡朽葉(うすくちば)
橙色と黄色を浅く掛け合わせたような色合いです。秋から冬にかけてあざやかに変化する朽葉にちなむ色名「朽葉四十八色」の一つです。葉が黄色から橙色へと移ろう様子を、繊細な日本人独特の感性で表しているようです。
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狐色(きつねいろ)
赤みの乗った黄色は、狐の体毛にちなみ、愛らしさと温かみを兼ね備えています。狐は古くから野山に見られる動物で、中世に色が定着しました。今では料理の焼き色を表す色として、お馴染みの色になっていますね。
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赤白橡(あかしろつるばみ)
薄めのくすんだ赤茶色です。古代から使われてきた色で、やがて禁色となりました。色名に橡(つるばみ・くぬぎ)を含みますが、黄櫨(はぜ)と茜で染めています。夕暮れ時、太陽に染め上げられた雲のような輝きが絶妙です。
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雀茶(すずめちゃ)
古くから人々の身近にいて親しまれてきた鳥、雀ちなんだ茶色です。その茶色ですが、実は羽の色ではなく、雀の頭を包んでいる愛らしい色を指しています。雀をよく観察してみると羽より頭の方が茶色いことがわかりますね。
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白群(びゃくぐん)
白みがかった清らかな青色をしています。藍銅鉱(らんどうこう/アズライト)を細かく砕いたものを顔料としています。この宝石でもある鉱物の粒子によって、淡い色彩ながらも存在感のある煌びやかな輝きが生まれました。
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留紺(とまりこん)
どこまでも限りなく濃い紺色です。藍染の中でも最も濃い色である「紺色」を限界まで染め尽くしています。色名に「留」が付くことからも、これ以上濃くならないということがわかります。まさに紺の中の紺といえますね。
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枯草色(かれくさいろ)
枯草の色にちなんだ、明るくも渋い黄緑色には、ほのかに緑色が潜んでいるようです。青々としていた草原が秋から冬にかけて物悲しく枯れ果ててゆく情景が目に浮かびます。先人たちの滅びゆくものへの愛情が伝わってきますね。
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香色(こういろ)
香木で染めた香染(こうぞめ)の色です。主に丁子(ちょうじ)や伽羅(きゃら)を用いて染めています。赤みがかった赤香(あかこう)、淡い色みの薄香(うすこう)、色濃い焦香(こがれこう)など色みに幅があります。
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舛花色(ますはないろ)
歌舞伎役者の市川団十郎にちなんだ、ほんのり緑がかった渋い青色です。五代目団十郎が好んで用いた色で「舛」は市川家の家紋「三舛(みます)」に由来し、「花」は色のベースとなっている縹(はなだ)色を指しています。
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紅紫(こうし)
「紅」は女性を意味し、「紫」は天子に通じる高貴な語です。色名には、めくるめく美しい色という意味合いがあります。美しい女性や衣服、艶やかな花を表す時に使われ、単なる赤紫とは異なる特別な美しさを秘めています。
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深緑(ふかみどり)
一年中、緑の衰えない常緑樹の黒々とした緑を指しています。濃い緑色系統の中でも、底知れぬ深みと広がりがありますね。その深い色合いは、山肌を覆い尽くす杉の群がりを思わせるような奥行きで、思わず圧倒されます。
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胡粉(ごふん)
イボガキなどの貝殻を焼いて粉末にしたものを、顔料に使っています。ほのかな黄みと赤みを感じさせる白色は、日光東照宮の唐門をはじめとした建築物や絵画などを鮮やかに彩ってきました。明るくも厳かな趣がありますね。
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煉瓦色(れんがいろ)
明治時代、お雇い建築家による西洋建築が街中にあふれ、煉瓦建築は文明開花の象徴となりました。いかめしさと華やかさを持つ赤茶色は文化人にも愛され、夏目漱石の『三四郎』には「はでな赤煉瓦」という表現が登場します。
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海松色(みるいろ)
海の浅瀬に生える海藻「海松(みる)」のような渋く上品な黄緑色が綺麗ですね。海松の美しい色や形が古くから好まれ『万葉集』や『風土記』にも登場します。宮内庁雅楽部の楽人が身につける正式な装束の色としても用いられています。
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木枯茶(こがらしちゃ)
安土桃山時代以降に登場した色名です。「黄唐茶(きがらちゃ)」とも呼ばれ、江戸時代に今の色名になりました。眺めていると、吹き荒ぶ木枯らしに舞い踊る枯葉の姿が目に浮かび、風の音が聞こえてきそうですね。
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秘色(ひそく)
中国の青磁にちなむ、白みがかった艶やかな淡い青緑色です。青磁の中でも、浙江省の越州窯(えっしゅうよう)で焼かれた最高級品の色合いを指します。その神秘的な色合いが賞賛され、中近東や日本へも伝わりました。
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漆黒(しっこく)
色名は黒漆に由来します。黒漆とは漆の精製時に混ぜられた鉄分で、漆が黒色に変化したもの。全ての色味を吸収して閉じ込めたような、まさに黒の中の黒といえます。色はなくても艶やかさ、煌びやかさ、雅やかさがありますね。
いかがでしたか?12月のにっぽんのいろは、まさに古きよき日本の伝統を感じさせる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。
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