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6月のいろ #にっぽんのいろ

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日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。

蟹鳥染(かにとりぞめ)
夏の到来を思わせるような青色が爽やかです。色名の「蟹鳥」は、身分や地位が高い人が、生まれたばかりの子どもに初めて着せる「産衣(うぶぎ)」のことを指しました。花田色(縹色)の淡い色合いで、とても涼しげですね。

蜥蜴色(とかげいろ)
ニホントカゲの体表のような色合いです。光の当たり方によって、青、緑、紫などに色みが変化し、その美しさが人々を魅了します。萌葱(もえぎ)の経(たて)糸と、赤色の緯(よこ)糸で織った織糸の色が自然の輝きを放ちます。

水縹(みはなだ)
明るく澄んだ青色は、川や湖などの水面を思わせます。明るい青のことを今では水色と呼ぶことが多いですが、万葉の時代には水縹と呼んでいました。「みずはなだ」と読まれることもあり、浅縹(あさはなだ)よりわずかに淡い色です。

古代紫(こだいむらさき)
穏やかで優しい紫色です。京都の伝統的な「紫染」の流れを汲むことから、京紫(きょうむらさき)に近いとされます。奈良や平安に都があった時代、その地で染色されていた紫色には、時代を超えて受け継がれる気品が宿ります。

青墨(あおずみ)
青みの強い墨のような渋い青色です。日本画で用いられる青色の顔料を墨の形に固めた絵具のことを「青墨」と言い、現代でも書道や水墨画などで愛用されます。灰色っぽいですが、よく見ると青光りする繊細な色合いが芸術的です。

豆青(とうせい)
瑞々しく滑らかな青緑色が古くから愛されています。中国の浙江省にある竜泉窯(りゅうせんよう)で作られた磁器のような色が、豆っぽさを感じさせますね。日本にも大量に輸入され、独特の色合いが茶人の間で珍重されてきました。

青緑(あおみどり)
歴史のある色で、平安時代の書物『延喜式(えんぎしき)』によると、藍と黄色系の黄檗(きはだ)で染め重ねられた色と記されています。青色とも緑色とも言えない青みのある緑色で、その幅広い色相の変化が深みを出しています。

熨斗目色(のしめいろ)
青みが強く暗い灰色が凛々しく光ります。熨斗目とは、江戸時代に士分(武士)以上が着用した礼服のことを言い、織物の小袖にも使われました。「熨斗目」とつく色名は多く、熨斗目色は地染めを藍染とする藍色系の色合いです。

弁柄色(べんがらいろ)
赤色にわずかに茶色が混ざったような色合いです。弁柄はインドの地名「ベンガル」の当て字で、ベンガル地方で多く産出される顔料の赤土に由来しています。京都や金沢の弁柄格子や沖縄の首里城でも使われるなど古い歴史があります。

小麦色(こむぎいろ)
やや赤みのある薄茶色は、まるでよく実った小麦の種子のよう。文学作品にもよく登場し、日焼けした肌を表現する際に使われることも多いです。エネルギッシュな色合いを見ていると、なんだか元気をもらえるような気がしますね。

花緑青(はなろくしょう)
明るく渋い青緑色は、19世紀初めにヨーロッパで生産された人工顔料です。「パリス・グリーン」とも呼ばれ、絵具や建築用の塗料として多く使われた歴史のある色です。ただ、成分に毒性を含むことから次第に使われなくなりました。

琥珀色(こはくいろ)
宝石の琥珀のような美しい輝きを放ちます。琥珀は松などの植物の樹脂が化石となった鉱物のことで、仏教の七宝にも数えられます。色名は近代以降のものとされますが、古くから「くはく」「赤玉」と呼ばれ珍重されていたそうです。

呉須色(ごすいろ)
日本人の暮らしに最も身近な藍色です。コバルトやマンガン、鉄などを含んだ顔料を「呉須」といい、染付磁器に使われます。高温で焼くことで青い色に変化し、その濃度によって、濃さの異なる様々な青色を表現することができます。

苔色(こけいろ)
青苔に由来する色名とされています。平安時代に使われ始め、江戸時代には着物の流行色となりました。深みのある渋い緑は、落ち着いた趣と堂々とした存在感を放ちます。侘び寂びを愛する日本人の心に馴染む色合いですね。

白緑(びゃくろく)
飛鳥時代から仏画や仏像などの彩色に使われてきました。緑青(ろくしょう)をさらに細かく砕いて粉末にした顔料のことを白緑と言います。粒子が細かくなるほど色が淡く薄くなり、白光りする慈愛に満ちた色に変化します。

若紫(わかむらさき)
薄い色味の明るい紅紫色がとても華やかです。江戸時代から色名として用いられるようになり、若者向けの華やかな紫色のことを呼んでいました。歌舞伎役者の女形が身に着けるものにも使われるなど、妖艶な色香が漂います。

花浅葱(はなあさぎ)
浅葱色に縹色(はなだいろ)が乗った青色が鮮やかです。縹色は「花色」とも呼ばれるマイルドな藍染の色のこと。元々、花色の青は月草から染めたものでしたが、今では染色方法が変化したため、色みを確定するのは難しいそうです。

葉緑色(ようりょくしょく)
黒々とした緑色で、少し暗めの色合いです。「葉」と「緑」という似た意味の言葉を繰り返すことで、よりいっそう緑っぽさが際立っています。梅雨時の雨で、より深く生い茂る木々の葉のような緑は、沈んだ心を癒してくれるようです。

天色(あまいろ)
「あめいろ」「てんしょく」「そらいろ」などの読み方もあります。晴天の澄み渡った空のような鮮やかな青紫色は、特に天の高い位置の空の色を指していたそうです。眺めていると刻一刻と移り変わる空模様が浮かんできますね。

茄子紺(なすこん)
紫を帯びた暗い紺色は、夏野菜の代表でもあるナスの実の表皮のようです。インド原産のナスは八世紀に日本に伝わり、色名として使われるようになったのは江戸時代以降とされています。夏の訪れを感じさせてくれる強い紫色ですね。

浅葱色(あさぎいろ)
美しく清涼感のある淡い青色です。薄いネギの葉の色に似ていたことが色名の由来とされています。藍染の薄い青色は、昔は軽んじられる傾向もありましたが、あっさりとした色合いが日本人に好まれるようになり、広く普及しました。

夏虫色(なつむしいろ)
深く渋い緑色は、甲虫特有の輝きを放っています。平安時代の衣の色では、玉虫色と同色とされていました。暑い時期に着用する袴の色にも使われ『枕草子』には「夏むしの色したるも涼しげなり」という表現が登場しています。

藤鳩羽色(ふじはとばいろ)
朗らかで明るくも、渋い落ち着きのある紫色です。女性から絶大な人気を集めた藤色に、鳩羽色らしい灰色みが加わりました。鳩羽色は灰色がかった紅、紫、青、緑など幅が広く、豊かな光沢が妖艶な雰囲気を醸し出していますね。

群青色(ぐんじょういろ)
吸い込まれそうな深みと透明感が魅力の美しい青色です。藍銅鉱(らんどうこう/アズライト)という石を砕いて作られる岩絵具の色です。宝石にも劣らない貴重な色は、オランダの画家フェルメールにも愛用されていたそうです。

根岸色(ねぎしいろ)
江戸時代に登場した粋で渋い緑色です。東京の根岸という所で採れた上質の「根岸土」で仕上げた根岸壁の色をしています。緑がかった暗い灰色が一般的ですが、茶寄りや青寄りなど色幅があり、江戸の伝統を受け継ぐ色合いです。

葵色(あおいいろ)
真っ直ぐ伸びた茎に大輪の花を咲かせる立葵(たちあおい)が色名の由来で、明るい紫色がとても可愛らしいですね。立葵は梅雨に花を咲かせることから「梅雨葵(つゆあおい)」とも呼ばれ、雨の季節に心を明るくしてくれます。

赤紫(あかむらさき)
赤と紫の中間の不思議な色合いです。牡丹やツツジの花のような赤みの濃い紫色、または鮮やかな赤紫色を指します。奈良から平安時代にかけて、深紫の次に高位の衣服の色でした。優美で気品のある色合いが長く愛されてきました。

紫陽花青(あじさいあお)
ほんのりとくすみがかった明るい青紫色です。土の酸度によって花の色を様々に変える紫陽花ですが、優しい青色の花は人々の心を癒します。雨続きの日々を明るく彩ってくれる色合いに、思わず晴れやかな気持ちになりますね。

濡葉色(ぬれはいろ)
雨に濡れた葉のような瑞々しい緑色です。葉は雨に濡れることで深く鮮やかな色合いに変化します。似た色名には「濡羽色(ぬればいろ)」があります。雨が降り続く中でも、視点を変えて自然の美しさを見出す感性がとても素敵ですね。

孔雀緑(くじゃくりょく)
強い青緑色は、孔雀石(くじゃくせき/マラカイト)の粉末で染めた色を指します。天然鉱物由来の岩絵具で、金の次に高価だとされています。自然染料で得られる唯一の緑色には、まるで孔雀の羽のような神秘的な美しさが宿っています。

いかがでしたか?6月のにっぽんのいろは、夏のはじまりや梅雨の季節を感じさせる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。

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