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9月のいろ #にっぽんのいろ

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日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。

団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)
赤みがかった穏やかな茶色からは、粋な雰囲気が感じられます。江戸時代の歌舞伎役者、市川団十郎が好んで身につけた色です。市川家伝統の演目「暫(しばらく)」では、代々の団十郎がこの色を用いてきました。歌舞伎文化に育まれた伝統色です。

葡萄色(えびいろ)
古くから高貴な色とされてきた濃い紫色です。古来、ブドウは「葡萄(えび)」と呼ばれており、この色は「葡萄葛(えびかずら)」と呼ばれていた山ブドウに由来します。秋とともに深まる山ブドウの豊潤な色合いが表現されています。

紫烏色(しうしょく)
色名の「烏」はカラスのこと。古来、神の使いとされてきたカラスの羽のような深く美しい紫色です。黒のイメージが強いカラスの羽ですが、きらびやかな光沢を帯び、暗くも艶やかな紫色に輝きます。

一位色(いちいいろ)
赤みを含む薄い茶色。「一位」という木の、赤みの芯材によって独特の色合いに染め出されます。一位は鉛筆にも使われる身近な木ですが、古くは公家男子が持つ「笏(しゃく)」に使われるなど重要な木材でした。

近衛柿(このえがき)
柿色よりも赤みが少なく、穏やかな色合いが特徴です。色名は、藤原道長から連なる由緒ある家系、五摂家の一つでもある近衛家のイメージに由来します。朝霧の中にきらめく朝日のような輝きを持ちます。

茜色(あかねいろ)
名前の由来は、山野に自生する蔓草の茜の根を染料としたことから。鮮明な赤を抽出するのは至難の業だったため、桃山時代、江戸時代には蘇芳(すおう)や紅花で染められました。その色は、まるで太陽に染まった赤富士のようです。

濃桔梗色(こいききょういろ)
幅広い色合いを持つ桔梗の花。この色は、あざやかな青紫の「桔梗色」を、さらに濃くした色を指します。それぞれに個性がある桔梗の花は、いろいろな姿形があることの素晴らしさをそっと教えてくれるようです。

萩色(はぎいろ)
古の人々を虜にした可憐な赤紫色です。秋の七草の一つでもある萩は赤紫から白へと、美しいグラデーションを見せます。その優美な色合いは『万葉集』で最も詠まれるなど、遥か昔から人々の心を強く惹きつけてきました。

桔梗色(ききょういろ)
晩夏から早秋にかけて花を咲かせる桔梗のような青紫色です。幻想的なこの色は、明治時代に文豪たちに愛されてきました。宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』などの作品で、たびたび空を形容する表現に用いました。

刈安色(かりやすいろ)
明るくあざやかなレモンを思わせる黄色です。この色を染め出す「苅安」は、山地に自生していて手に入りやすく、染めやすい原料でした。奈良時代の『正倉院文書』にも登場するほど歴史が古く、日本の伝統色の代表格です。

葡萄鼠(ぶどうねず)
渋みの強い深紫色。江戸時代中期から流行し、ブームは昭和初期まで続きました。滑稽本や浮世絵、落語にも登場する人気色で、美しい紫と小粋な鼠の絶妙な掛け合わせが人気の秘訣です。

葡萄紫(ぶどうむらさき)
赤みがかった「葡萄色(えびいろ)」よりも青みの強い紫色です。江戸時代の中頃、葡萄の読みが「えび」から「ぶどう」に転じたことから、江戸時代以降に定着した色と考えられます。江戸時代には、多様な品種のブドウが生まれました。

黄金色(こがねいろ)
黄色系の中でも、水際だった華やかな色。美しく輝く色は、古くは「山吹色(やまぶきいろ)」と呼ばれ、貴族の装束に好んで取り入れられました。豊かさの象徴として、古今東西尊ばれてきた人気の色です。

蒸栗色(むしぐりいろ)
ほのかにくすんだ薄黄色。蒸した栗の実にちなみます。栗は縄文時代から栽培され、その食文化は日本人に古くから愛されていました。眺めていると、なんだかホクホクの栗ごはんが食べたくなってきますね。

女郎花(おみなえし)
ほのかに緑がかった明るい黄色。艶やかな色で、古くから人々に愛されてきました。「女郎」は身分のある女性や若い女性のこと。『源氏物語』では幼い女の子の衣装の表現に用いられるなど老若問わず親しまれました。

承和色(そがいろ)
赤みを含む優しげな黄色からは、凛とした気品が漂います。平安時代初期の仁明(にんみょう)天皇が好んだ黄色い菊にちなんだ色で、在位した年号が「承和(じょうわ)」だったことからこの色名が生まれたとされています。

落栗色(おちぐりいろ)
落ちたばかりの栗の、若々しく赤みの強い色。『源氏物語』に登場するなど、平安中期に愛された色のようです。栗色とは別にあえて落栗色を見出したところに、昔の人々の繊細な心が感じられますね。

紫苑色(しおんいろ)
美しい薄紫の紫苑の花に由来します。『枕草子』や『源氏物語』にも登場するなど、平安時代の初め頃にはすでに日本に伝来していたようです。秋になると咲く紫苑の花のように、幻想的で儚げな色が多くの人を魅了します。

木賊色(とくさいろ)
地下茎から一直線に固い茎を伸ばす「木賊」のように、力強くも落ち着きを秘めた深緑色です。その固い茎は刃物を研いだり木材を磨いたりするのに使われ「砥草」とも書きます。武士の衣装の色によく用いられました。

青白橡(あおしろつるばみ)
白っぽいくすみのある青緑色をしています。橡(つるばみ)はドングリの古名のこと。室内のほのかな明かりの下では薄い茶色に見え、太陽の下では緑が浮き立つような不思議な色合いです。光による見え方の微妙な変化が魅力的ですね。

尾花色(おばないろ)
秋にススキの先端に吹く花穂(かすい)は、動物の尾に似ていることから「尾花」と呼ばれています。山野を彩るススキのような色が、美しくも物憂げな印象を与えます。秋の訪れは、少しだけ切ない気持ちも含んでいるようです。

月白(げっぱく)
月光のような明るい白に、清らかな空の青みが差した色合い。月そのものではなく、月が出てくる際に白く染まる東の空の色をさします。月の出を待つ人々のワクワクする気持ちと、シンとした静寂感を醸し出す不思議な色ですね。

桔梗納戸(ききょうなんど)
鮮やかな青紫である「桔梗色」の青みをさらに深くし、強いくすみを持たせています。物置のような暗がりを表現するとされる青暗い「納戸色」を、桔梗色に掛け合わせて生み出されました。大人の落ち着きと風格が感じられます。

紫式部(むらさきしきぶ)
名前の由来は、あざやかな紫色の実をつけるシソ科の低木「紫式部」から。江戸時代に、平安時代の女流作家、紫式部にあやかって木名が変更されたそうです。濃厚な紫色をしていますが、どこからともなく乙女チックな雰囲気が漂います。

青朽葉(あおくちば)
色褪せてゆく木の葉のことを「朽葉」と言います。その中でも特に、緑色が褪せ始めたものを「青朽葉」と呼んでいます。平安時代には幼子の衣装に用いられました。

栗梅(くりうめ)
赤みを含む茶色は、神社仏閣の色にもよく使われます。梅の幹を刻んだものを染料とし、明礬(みょうばん)でさらに濃くする染色法で染めます。「栗色の梅染」が略されたとも言われ、江戸時代初期から見られる色です。

み空色(みそらいろ)
色名の「み」は「み雪」や「み山」など美称(びしょう)につきます。空を称える色名からは、空に対する人々の畏敬の念が伝わってきます。どこまでも澄み切った美しい秋空を思わせるような色ですね。

胡桃色(くるみいろ)
自然な風合いの穏やかな茶色です。胡桃の木の皮や実の皮を煎じた汁で染めています。古くは、囚人を監視する囚獄司(しゅうごくし)の太刀の緒の色に使われる色でしたが、今では優しい色合いが心を落ち着かせる、人気の色です。

葡萄酒色(ぶどうしゅいろ)
濃厚な赤紫色が赤ワインの芳香を思わせます。西洋では古くから親しまれていたワインですが、日本で本格的に普及したのは明治時代になってから。色名の歴史は浅いですが、ハイカラな色合いが多くの人を魅了しています。

淡黄色(たんこうしょく)
光の当たり具合によって印象が変わる黄色が特徴的です。やや淡く明るい色みは、少しぼんやりとした印象を与えますが、光が当たることで、柔らかな色みが一気に際立ちます。幅のある色のイメージから、文学作品にもよく用いられます。

いかがでしたか?9月のにっぽんのいろは、秋へと移ろう日本を感じさせる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。

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